【小規模事業者持続化補助金】補正予算で補助上限の上乗せが始まります

2023/01/30

令和4年度2次補正予算が成立したことにともない、免税事業者がインボイス発行事業者(消費税の課税事業者)に転換する場合に、2023年3月以降の公募から一律50万円の補助上限上乗せが実施されます。小規模事業者持続化補助金の本来の補助上限は50万円と小さな補助金ではありますが、「特別枠」の条件に該当すれば最大200万円まで受給できる補助金です。今回さらに50万円の上乗せが始まることで、最大250万円の補助金となります。
補助率も2/3(賃金引上枠のうち赤字の事業者は3/4)と高めに設定されており、小規模な会社や個人事業主にとって非常に使いやすい設計になっています(原則として商業・サービス業はフルタイムの従業員が5名まで、それ以外の業種は20名までの方が活用可能です)。
もともと販路開拓を目的とした補助金ですので、何らかの販路開拓の取り組みは必須になりますが、これに合わせて行う生産性向上の為の取り組みもあわせて補助対象になります。今回の補助上限上乗せ措置に関連して、インボイス対応に伴う税理士への相談費用も補助対象になり、インボイス発行事業者になる方については、手厚い支援が準備されています。では、具体的に特別枠の中身を見ていきます。

インボイス制度の解説についてはこちらご確認ください。
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賃金引上枠

事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者が活用する事ができる特別枠です。既に地域別最低賃金+30円以上を達成している場合は、事業場内最低賃金をさらに+30円以上とする必要があります。申請時点で従業員がいない場合は賃上げができないため使うことができない枠ですが、従業員がいれば比較的容易に活用できる枠です(仮に時給30円アップした方1名が年間2000時間働く場合6万円(30円×2000時間)少々のコストアップです)。特に前期の決算が赤字の場合は補助率の上乗せがありますので有利です。各特別枠共通ですが、補助事業終了日時点で要件を満たさなかった場合は補助金が1円も出なくなってしまうため注意が必要です。

卒業枠

小規模事業者の定義の従業員数を超えて規模を拡大する事業者向けの特別枠です。

後継者支援枠

アトツギ甲子園のファイナリスト等となった事業者向けの特別枠です。該当がない場合は使えません。

創業枠

過去3年以内に「特定創業支援事業」による支援を受けた方が代表者または事業主として創業した事業者向けの特別枠です。支援を受けた市区町村以外での創業も対象になります。各市区町村で違いますが、4回程度の相談や、創業者向けのセミナー受講などで比較的簡単に要件を満たします。認定書の取得に最低でも1か月以上かかりますので早めに着手する必要があります。

いかがでしたでしょうか。補助対象にできる経費についても、①機械装置等費、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)、⑤旅費、⑥開発費、⑦資料購入費、⑧雑役務費、⑨借料、⑩設備処分費、⑪委託・外注費と幅広く、使いやすい補助金となっています。ただし、注意が必要なのはウェブサイト制作やウェブ上の広告等が含まれる③ウェブサイト関連費です。補助金交付申請額の1/4までという制限がかかっていますので、必ず他の経費と組み合わせて活用する必要があります。
通常はチラシやDMなどを②広報費として活用する方が多いですが、忘れがちなのは、①機械装置等費にソフトウェアを含めることができますし、⑧雑役務費には、販路開拓を行うための正社員以外の有期契約労働者やパート・アルバイト、派遣労働者にかかる経費が計上できる点です。補助金は後払いになりますので、資金が不足する場合は融資なども活用しながら余裕を持って進めていきましょう。実際に活用する際は、詳細について必ず最新の公募要領をご確認ください。

著者:西内 孝文(にしうち たかふみ)

税理士・特定社会保険労務士・中小企業診断士・特定行政書士・CFP(R)の複数の資格を活用してワンストップで課題を解決できるユナイテッド・アドバイザーズグループを主宰。補助金・助成金等の支援では、着手金無しの業務報酬後払制により支援を行っており、成果にコミットした支援を行っている。

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