【スタートアップ創出促進保証】
創業者に朗報!個人保証不要の融資制度

2023/04/07

スタートアップを含む起業家・創業者の育成が日本経済活性化の課題となっています。借入をして事業をスタートする方も多いと思いますが、大きなお金を借りる際は代表者が連帯保証をしなければいけない事が多いため、失敗時には個人破産に直結することからリスクが大きく、起業をためらう方が多くいらっしゃいます。
そのため、起業・創業の促進につながるように、経営者保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度として「スタートアップ創出促進保証制度」が創設されました。
日本政策金融公庫でも「新創業融資制度」という無担保無保証人の融資制度があり、代表者個人には責任が及ばない融資制度を取り扱っていますが、「スタートアップ創出促進保証制度」が創設されたことで銀行や信用金庫等の金融機関でも創業期に関する無担保無保証人の融資制度が使えるようになります。

保証の対象者

「スタートアップ創出促進保証制度」を活用する事ができる方は次の方々です。

  • これから法人を設立し、事業を開始する創業予定者
  • 中小企業で行っている事業を引き継いで、新たに会社を設立する分社化予定者
  • 創業後5年未満の法人
  • 分社後5年未満の法人
  • 創業後5年未満の個人事業を法人化(法人成り)した企業

個人事業の方はそもそも無限責任となることから無保証の恩恵が及ばないため、法人が対象者になっています。日本政策金融公庫の新創業融資では税務申告を2期終えていない方までが対象ですが、設立5年未満の法人まで対象になることから、対象者の範囲が広いのも特徴です。

保証限度額と保証期間

保証してもらえる限度額は3,500万円までになります。必ずこの金額まで融資を受けられるというわけではなく、信用保証協会と金融機関の審査があります。
保証期間は最長10年ですので返済期間もこれに合わせて決定することが多いかと思います。また、元本の返済を待ってもらう据え置き期間を1年まで設けることが可能です(一定の条件を満たす場合には3年以内)。

保証の要件

創業間際で税務申告がまだ終わっていない方については、創業資金総額の1/10以上の自己資金を保有している必要があります。多くの場合資本金として法人に払い込んでいるかと思われますので、あまりに少ない資本金での設立は注意が必要です。
また、創業計画書(スタートアップ創出促進保証制度用)の作成が必要になりますので、1年程度でしっかりと事業化して利益を計上できる計画が必要になります。
自己資金の要件や創業計画書の作成は、日本政策金融公庫とほぼ一緒の要件となっています。

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その他の義務

会社を設立して3年目および5年目のタイミングで、中小企業活性化協議会による「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」に基づいた確認および助言を受けることが必要になります。決算書など必要な書類をしっかり作成して経営の透明性を確保しているか。決算書等の内容の正確性、法人と経営者の間で公私混同のような事がないか。一定の内部管理体制を整備しているかなどがポイントになると考えられますが、全て完璧にできていない場合でも、助言を受けながら改善していくことになると思われます。

いかがでしたでしょうか。保証の取り扱い開始は2023年3月中の予定で、創業に伴う資金調達の選択肢が広がります。日本政策金融公庫の新創業融資では融資枠が足りない場合などに、民間の銀行や信用金庫などと協調融資になることがありましたが、民間金融機関からの融資分も連載保証が不要になるため、創業のリスクを大幅に抑えることができるようになます。

中小企業庁 経営者の個人保証を不要とする創業時の新しい保証制度(スタートアップ創出促進保証)を開始します。

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2023/230220startup.html 新しいウィンドウで開く

著者:西内 孝文(にしうち たかふみ)

税理士・特定社会保険労務士・中小企業診断士・特定行政書士・CFP(R)の複数の資格を活用してワンストップで課題を解決できるユナイテッド・アドバイザーズグループを主宰。補助金・助成金等の支援では、着手金無しの業務報酬後払制により支援を行っており、成果にコミットした支援を行っている。