新規雇用に助成金!
事業再構築補助金とあわせて使える産業雇用安定助成金
2023/05/09
令和4年度2次補正予算で、事業再構築補助金が継続されることが決定しました。第10回公募からは、新予算での公募となります。これまでは新型コロナの影響で売上が下がっている事業者を対象とした補助金でしたが、新予算では、「成長枠」という、売上が下がっていなくても申請できる枠ができ、大きな要件変更が行われています。
しかし、業況が厳しい事業者向けの支援がなくなったわけではありません。従来通り売上が低下している事業者や、賃金が低めの事業者が賃上げをして行くために必要な支援も継続されています。特に4月からは、新年度の予算で産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)が始まっていますので、事業再構築補助金の交付決定を受けた方に合わせて使える助成金をご紹介させていただきます。以下、その詳細を見ていきましょう。
産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)
産業雇用安定助成金(事業再構築支援コース)は、事業再構築補助金第10回公募要領の「物価高騰対策・回復再生応援枠」および「最低賃金枠」の交付決定を受ける事で活用する事ができるようになる助成金です。事業計画中の「実施体制」中に人材確保に関する事項を記載した場合に限り助成されることになります。ただし、例外的に事業再構築補助金の計画変更により人材確保に関する事項を記載し、独立行政法人中小企業基盤整備機構の承認を受けた場合であって、当該承認日以降、補助事業実施期間の末日まで対象労働者を雇い入れた場合には支給対象となりえます。
具体的には、以下の要件全てに該当する労働者を雇い入れることで、1人あたり合計280万円(半年分ずつ支給)を最大5名分まで助成してもらえます。
- 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れること
- 期間の定めのない労働契約を締結する労働者(パートタイム労働者は除く)として雇い入れること
- 「事業再構築補助金」の補助事業実施期間の初日から当該期間の末日までに雇い入れること
- 交付決定を受けた事業に関する業務に就く方で「専門的な知識や技術が必要となる企画・立案、指導(教育訓練等)の業務に従事する方」又は「部下を指揮および監督する業務に従事する者で、係長相当職以上の方」
- 毎月決まって支払われる基本給および諸手当が年間に350万円以上の方
助成金であるが故の追加要件
助成金は厚生労働省の管轄になりますので、補助金とは違い労働関係諸法令しっかり守ることが必要になるなど、しっかりとした労務管理も必要になります。
例えば、雇用契約書の締結、労働者名簿を作成、雇用保険や社会保険の加入義務を満たす、タイムカードや出勤簿等で労働時間の管理を行う、残業代を含む給与計算を適正に行い、支給することなどが必要になります。
また、以下に該当するような場合についても不支給になりますので事前にご注意ください。
- 雇入れ日前6か月から助成金の支給申請までの期間に雇用する労働者を解雇している場合
- 雇入れ日の前日から過去3年間に、事業主と雇用、請負、委任、出向、派遣の関係にあった対象労働者を雇い入れる場合
- 対象労働者が、事業主または取締役の3親等以内の親族(配偶者、3親等以内の血族や姻族)である場合
その他、産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)も準備されています。新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合に、出向元・出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の一部を助成する制度です。
いかがでしたでしょうか。助成金の金額も最大1,400万円(280万円×5名)と、非常に大きくなりますので、補助金だけを見ていて気づかないともったいない制度です。ぜひ事前に計画のうえ、効果的にご活用いただければと思います。なお、助成金の申請代理ができるのは社会保険労務士か社会保険労務士法人だけになりますので、ご注意ください。
著者:西内 孝文(にしうち たかふみ)
税理士・特定社会保険労務士・中小企業診断士・特定行政書士・CFP(R)の複数の資格を活用してワンストップで課題を解決できるユナイテッド・アドバイザーズグループを主宰。補助金・助成金等の支援では、着手金無しの業務報酬後払制により支援を行っており、成果にコミットした支援を行っている。