残業規制にうまく対応できる
「副業・兼業支援補助金」をいち早く解説
2023/06/01
働き方改革に関連し、大企業だけでなく中小企業においても、2023年4月から月60時間以上の残業について割増率が50%に引き上げられました。これに伴い中小企業からも残業を減らす為にどのような事ができるかについての相談が増えてきています。
しかし、単に残業を減らしただけでは労働者の手取りの給料が下がってしまい、物価高騰の影響もあり、生活が厳しくなる方も増えてしまう可能性があります。
もちろん賃上げができれば良いのですが、そんな余裕がないという中小企業も多いと思いますので、経済産業省が進めている一つの解決策をご紹介させていただきます。これまで社員の副業や兼業を認めていない会社も多いと思いますが、労働時間を減らすのであれば副業や兼業を認めていきましょうという取り組みです。
今回、「副業・兼業支援補助金」としてその取り組みが支援されますので、その詳細を見ていきましょう。
副業・兼業支援補助金 ~類型A:副業・兼業送り出し型~
自社の従業員が他の企業等での就業等を行うことを認めるための環境整備を行うものであって、以下のいずれの要件も満たす取り組みを支援していきます。
- ① 従業員の就業に関する社内ルール(就業規則等の社内ルールとして明文化されたものに限る。以下同じ。)の改定を伴うものであること
- ② 社内ルールの改定によって、従業員の副業・兼業を認める範囲が広がることが見込まれること
- ③ 改定後の社内ルールが、モデル就業規則(厚生労働省)第70条の規定に準じたもの、又は、同条の規定よりも広範に従業員の副業・兼業を認めるものになると見込まれること
- ④ 改定後の社内ルールについて、全ての従業員に周知することが見込まれること
これらの要件を満たす場合、必要な①専門家経費、②研修費、③クラウドサービス利用費について、補助率1/2で最大100万円まで補助してもらえます。
副業・兼業支援補助金 ~類型B:副業・兼業受け入れ型~
他の企業等(自社との間に独立性が認められない企業等を除く。)において雇用契約又は業務委託契約に基づき就業している個人と新たに雇用契約又は業務委託契約を締結した上で、同契約に基づき、当該個人が当該他の企業等での就業を継続している状態のまま、自社の業務に就業させるものであって、以下のいずれの要件も満たす取り組みを支援していきます。
- ① 自社の業務に就業させる期間が、少なくとも3か月以上であること
- ② 受け入れる人材が有するスキルや経験などを活用することが、受け入れ企業の経営課題の解決につながると見込まれること(ただし、自社の既存の業務に関する人員が不足しているという課題に対応するために、当該業務に関する人員として、副業・兼業人材を受け入れる場合を除く)
これらの要件を満たす場合、必要な①仲介サービス利用料、②専門家経費、③旅費、④クラウドサービス利用費について、補助率1/2で最大250万円(受け入れ人材1人あたり50万円×5名まで)まで補助してもらえます。
こちらは雇用だけでなく、フリーランスや、他の役員や従業員がいない場合の1人法人との契約もフリーランスのような個人と同様に認めてもらええます。
いかがでしたでしょうか。人手不足の補完には使えなかったり、補助対象にできる経費の範囲が若干狭めだったりしますが、うまく活用する事で社外の人材のノウハウや経験を有効活用して、自社の事業に役立てることが可能になります。
詳細の日程はまだ公開されていませんが、2次公募が予定されていますので、今後の人事戦略の多様化や、ジョブ型雇用の導入に向けての取り組みとしても有効かと思います。電子申請になりますのでGビズIDプライムが必須になります。
- 副業・兼業支援補助金
- https://www.fukugyo-kengyo-hojo.jp/
西内 孝文(にしうち たかふみ)
税理士・特定社会保険労務士・中小企業診断士・特定行政書士・CFP(R)の複数の資格を活用してワンストップで課題を解決できるユナイテッド・アドバイザーズグループを主宰。補助金・助成金等の支援では、着手金無しの業務報酬後払制により支援を行っており、成果にコミットした支援を行っている。
事務所HP:https://www.united-advisers.com/
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