法人カードとは?ビジネスカードの種類や個人向けクレジットカードとの違い、選び方を解説

2025/09/26

法人カードの導入を検討されている経営者の中には「どれを選べばいいのか」「どのように業務改善に役立てられるのか」など、悩む方も少なくありません。この記事では、法人カードの基本情報や特徴、年会費の違いをはじめ、個人向けクレジットカードとの比較、メリット・デメリット、選び方や審査のポイントまでを詳しく解説します。自社のニーズに合った法人カードを選び、業務の効率化や経費管理の強化に役立てましょう。

法人カードとは

法人カードとは、企業や個人事業主が「法人名義」や「屋号名義」で発行できるクレジットカードのことです。法人の場合、一般的に「法人口座」から引き落としますが、個人事業主の場合は「屋号付き口座」や「個人口座」からの引き落としも認められています。

また、法人カードは、役員や従業員向けに追加カードの発行が可能です。表面に社名を印字できる場合もありますが、名義はあくまで個人であり、名義人以外は使用できません。

法人カードの主な特徴として、以下の点があげられます。

  • 一般的に利用限度額が高めに設定されやすく、業務用の大きな支出にも対応可能
  • 経費削減に役立つ優待特典や、充実した旅行傷害保険・出張サポートなど、ビジネス利用に特化したサービスが豊富

法人カードは主に2種類に分けられる

法人カードは、大きく分けて「ビジネスカード」と「コーポレートカード」の2種類があり、それぞれ事業の規模によって審査方法や付帯サービスなどが異なります。自社に合ったカードを利用しましょう。

ビジネスカードとは

ビジネスカードとは、中小企業や個人事業主向けに発行される法人カードで、「一般法人カード」とも呼ばれます。主に従業員数20人未満の企業や個人事業主を対象としており、年会費も無料〜数万円程度と低コストで導入しやすいのが特徴です。

ビジネスカードの審査は、以下の2通りがあります。

  • 法人の場合:法人全体の財務状況や、代表者の個人信用情報が審査対象
  • 個人事業主の場合:申込者本人の信用情報が審査対象

特に、設立間もない法人や起業直後の個人事業主であっても、個人の信用情報に基づいて審査が行われるため、比較的申し込みやすい傾向にあります。

個人向けクレジットカードでも事業に利用できるケースはありますが、事業用と私用の支出を明確に分けたい場合には、ビジネスカードの活用が効果的です。会計処理がしやすくなり、確定申告や経費精算の手間も軽減されます。

コーポレートカードとは

コーポレートカードは、主に中堅企業や大企業向けに発行される法人カードで、一般的には従業員数が20人以上の法人が対象となります。カードの発行の際は、法人の資本金や経営状況などを基に審査が行われます。

年会費はグレードによって異なりますが、高いものでは10万円程度に設定されている場合もあり、その分、付帯保険やサービス内容が充実しています。利用限度額も一般法人カードに比べて高く、数百万円〜無制限とされるケースもあります。

また、従業員向けの追加カードを比較的多数発行できる点も大きなメリットです。社員が業務において必要な支払いを個別に行えるようになることで、経費の使用状況を一元的に把握しやすくなります。

さらに、コーポレートカードの中には、カードレスで運用できる「パーチェシングカード」と呼ばれる決済手段もあります。主にクラウドサービスの利用料、法人携帯の通信費、広告費など、特定の経費用途に特化しており、明細管理や決済フローの効率化を通じて、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に寄与します。

カード利用明細を従業員や部署単位でまとめて管理できるため、経費精算の手間が軽減されるほか、支払いが一本化されることで経費の流れが明確になり、財務管理の精度向上にもつながります。

法人カードにもグレードが存在する

法人カードにも、一般のクレジットカードと同様に「スタンダード」「ゴールド」「プラチナ」といったグレードがあります。スタンダードカードは、ほかのグレードと比べて利用限度額は低いものの、年会費が無料または数千円と安いため、コストを抑えて導入しやすいのが特長です。

ゴールドカードは、年会費が数千円~数万円程度に設定されており、以下のような特典が多く付帯しています。

  • 空港ラウンジの利用
  • 飲食店・ホテルでの割引サービス
  • ETCカードの複数枚発行
  • 国内外旅行傷害保険・ショッピング保険の付帯

さらに上位のプラチナカードは法人カードとしては最高グレードに位置し、ゴールド以上の特典とサービスが受けられます。主な特典には以下のようなものがあります。

  • 高級ホテルやレストランでの優待
  • 専用コンシェルジュによる予約・手配サポート(ホテル、航空券、レストラン等)
  • 海外の空港ラウンジ利用
  • 緊急時のトラブル対応 など

企業の規模や利用目的に応じて、グレードを選ぶことで、コストと利便性のバランスを最適化できます。

法人カードと個人向けクレジットカードの違い

法人カードと個人向けクレジットカードには、引き落とし口座や限度額、追加カードの発行可否、支払方法など、仕組みには明確な違いがあります。特に経費精算やキャッシュフローにかかわる点は、事業規模や業務スタイルによって使い勝手が大きく変わるため、目的に応じて選ぶことが重要です。

個人向けクレジットカードにも特典が充実したものはありますが、ビジネス向けの特典を重視する場合は、法人カードを選ぶのがおすすめです。

引き落とし口座

法人カードには、「会社決済型」と「個人決済型」の2種類の引き落とし方法があります。

会社決済型では、法人名義の法人口座からの引き落としとなり、会社全体の経費管理や一括精算に適しています。対して個人決済型は、カード名義人(主に従業員など)の個人口座から引き落とされる仕組みで、個別の支出管理や精算に利用されます。

個人事業主の場合は、個人決済型の法人カードを選ぶのがおすすめです。事業用と私的な支出を明確に分けることで、会計処理や確定申告がスムーズになります。

なお、法人カードの引き落とし口座には、カード会社によっては屋号付き口座(個人名義+屋号)を設定できる場合もありますが、対応可否はカード会社ごとに異なります。また、法人カードで個人口座からの引き落としに設定していると、プライベートでの支払いと区別がつきにくくなるため注意が必要です。

法人カードは本来、業務用途を前提としたカードであるため、従業員による私的利用を許可するかどうかは、企業の規定やカード会社の利用条件により異なります。

カードの利用限度額

法人カードは、個人向けクレジットカードと比べて利用限度額が高く設定されている傾向があります。事業における仕入れや出張費など、高額な支出に対応する必要があるためで、一般的な法人カードの限度額の目安は500万円程度とされています。

さらに、大企業向けのコーポレートカードは、限度額がより高く設定されていることも多く、高額かつ突発的な出費にも対応しやすい設計です。

法人カードの利用限度額は、以下の3つの要素によって決まります。

  • カード発行時の審査結果
  • 選択するカードのグレード
  • 利用するカード会社の基準

基本的には、ゴールドカード以上のグレードの方が、一般カードより高い限度額が設定されやすい傾向にあります。継続的に高額決済が発生する場合は、ゴールド以上のカードの検討を検討すると良いでしょう。

また、自社にとって適切な利用限度額がわからない場合は、チャージ型(プリペイド式)で限度額の上限がない法人カードを利用し、まずは実際の利用額を把握するという方法も選択肢のひとつです。

従業員用の追加カードの発行

法人カードでは、本カードに加えて、従業員用の追加カードの発行が可能です。追加カードを従業員に持たせることで、交通費や備品購入、ガソリン代、接待費など、業務に伴う支出を従業員自身が直接決済できるようになり、立て替えや精算の手間が不要になります。

さらに、追加カードの利用分は本カードにまとめて請求されるため、経費の流れを一元管理でき、経理処理の効率化や不正使用の防止にもつながります。特に、ETCカードを頻繁に利用する企業や、出張・外回りが多い職種では、用途別に追加カードを発行しておくと、日々の業務と経費精算がスムーズになります。

なお、追加カードの発行可能枚数はカード会社やカードの種類によって異なります。ビジネスカードでは発行枚数に上限がある場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

また、個人カードでも「家族カード」として追加カードを発行することはできますが、対象は生計を同一にする家族(配偶者・子ども・両親など)に限られます。

支払い方法

法人カードは基本的に一括払いが原則で、分割払いやリボ払い、キャッシング機能には対応していない場合がほとんどです。

これは、基本的に法人は一定の資金力を前提とした運用が想定されており、消費者向けのような分割払いや借り入れを利用する必要がないという考え方であるためです。ただし、一部のカードでは対応していることもあります。

一方、個人カードでは、一括払いに加え、分割払いやリボ払い、キャッシングなど柔軟な支払方法が用意されていることが多く、資金繰りの調整手段として活用されることもあります。

そのため、法人カードで一括払いしか選択できない場合、大規模な設備投資や一時的に多額の支出が発生した際には、資金繰りに影響が出る可能性もあります。

法人カードを発行するメリット

法人カードは、事業を行う上での利便性や管理面において、個人向けクレジットカードとは異なる役割を果たします。導入によって業務のあり方が変わることもあるため、自社にとっての活用価値を検討してみることが大切です。

経費精算の手間が省ける

法人カードを利用すれば、利用明細データを基に経費の記録ができるため、レシートの収集や精算データの手入力といった手間を大幅に削減できます。経理業務の効率化に大きく貢献する点が、法人カードのメリットの1つです。

さらに、会計ソフトと連携できる法人カードを選べば、明細データが自動でソフトに取り込まれ、仕訳や帳簿作成が自動化されます。これにより入力ミスが減り、正確性の向上にもつながります。

法人カードの明細はWeb上で随時確認できるため、経費の使用状況をリアルタイムで把握でき、経費の透明化や見える化にも役立ちます。また、法人カードでは複数の支払いが一括で引き落とされるため、振込手数料が発生しないというコスト面での利点もあります。

個人事業主にとっても、事業用とプライベート用の支払いを明確に分けるために、法人カードの導入がおすすめです。個人のクレジットカードのみで管理していると、支出の区分が曖昧になりやすく、経費処理や確定申告時に手間がかかる原因になります。

法人カードを使えば、明細を基に情報を整理できるため、確定申告の計算・帳簿作成・申告作業の負担も軽減できます。

キャッシュフローの改善に役立つ

都度現金で支払いを行ったり、取引先へ個別に振込を行ったりする場合、支出のタイミングが不規則になりやすく、一時的にキャッシュが不足するリスクも生じます。

一方で、法人カードを活用すれば、複数の支払いを一括化し、毎月決まった日に引き落とすことが可能です。これにより、支払いまでに一定の猶予が生まれ、短期的な資金繰りを安定させやすくなります。

カードの引き落としタイミングは、利用の翌月末や翌々月などに設定されている場合も多く、その分キャッシュを手元に長く残せる点も大きなメリットです。特に、売上に季節変動がある場合や、収入サイクルが不規則な企業では、法人カードの活用によってキャッシュフローの調整がしやすくなり、経営の柔軟性が高まります。

支払いの区別がつきやすくなる

個人カードを事業でも利用していると、経費とプライベートの支払いが混在してしまいます。その場合、後から経費か私的支出かを判断しにくくなり、確定申告時の仕分けに手間取ったり、経費とプライベートの支払いが混在して経理作業が煩雑になったりするおそれがあります。

一方、法人カードと個人のクレジットカードを使い分ければ、経費とプライベートの支払いが区別でき、スムーズな経費計上が可能です。さらに、会計ソフトと連携できる法人カードを利用すれば、明細の自動仕訳が可能となり、人的ミスの防止にもつながります。

ガバナンスの強化につながる

法人カードの利用報告方法やチェック体制を含む社内ルールを策定・運用することで、組織としてのガバナンスを強化する効果が期待できます。

従業員が「いつ・どこで・いくら使ったか」が利用明細を通じて可視化され、支出内容を正確に把握できるようになります。また、カードによっては利用先や利用用途を制限できる機能があり、自由な使い方を制限することで、不正防止効果も期待できます。併せて、社内規定でカードの使用対象となる品目やサービスを明確に定めておくことも有効です。

こうした運用ルールをあらかじめ整備しておけば、万が一、不正利用や改ざんが発生した場合にも、迅速かつ適切に対応できます。

ビジネスに役立つ付帯サービスが受けられる

法人カードには、以下のようにビジネスシーンを支えるさまざまな付帯サービスが用意されています。

  • 出張支援:空港ラウンジの利用、ホテル・交通機関の予約サポート、旅行傷害保険、タクシーチケットなど
  • 業務効率化:ETCカードの発行、経費管理機能、会計ソフトとの連携
  • 福利厚生サービス:健康診断やスポーツクラブの優待、従業員向け特典
  • 経営サポート:コンシェルジュによる各種手配、無料の経営相談など

上記のサービスは法人代表者だけでなく、追加カードを持つ従業員も利用できる場合があります。カード選びの際は、自社の業務内容や従業員規模に合った付帯サービスがあるかどうかも検討材料にしましょう。

経費の支払いでポイントを貯められる

法人カードの中には、利用額に応じてポイントやマイルが貯まるものがあります。貯まったポイントは、備品の購入や出張時の航空券・宿泊費に充てたり、他社のポイントへ交換したりと、経費節約に役立ちます。

また、追加カードでの利用分も本カードに合算され、まとめてポイントが貯まる仕様のカードもあります。ただし、ポイントの利用は原則として本会員(法人代表者や個人事業主)のみに限られており、追加カードを使う従業員が勝手に使用することはできません。

ポイントの管理は経理や総務部門が一括で行い、適切な利用ルールやアクセス制限を設けるのがおすすめです。

法人カードを発行するデメリット

法人カードは事業に役立つ便利なツールですが、すべての企業にとって最善の選択肢とは限りません。導入にあたっては、注意すべき点や制約も存在します。運用上のリスクやコスト面などを正しく理解し、自社の体制や目的に合った使い方を見極めることが大切です。

年会費がかかる場合が多い

法人カードは基本的に年会費がかかる点がデメリットです。永年無料のカードもありますが、その場合は付帯サービスや機能が最小限だったり、利用限度額が低めであったりするのが一般的です。

初めて法人カードを利用する場合や、コストを抑えたい場合は、年会費の安いスタンダードカードがおすすめです。カードのグレードが上がるとともに年会費も上がり、ゴールドカードでは数千円〜数万円、プラチナカードでは10万円以上になることもあります。

ただし、ゴールドカードは空港ラウンジの利用や各種優待など特典が豊富で、出張や会食の多い企業では多くのメリットを享受できます。さらに上位のプラチナカードでは、高級ホテルの優待やコンシェルジュによるサポートなど、より充実したビジネス支援サービスが利用可能です。

年会費が発生しても、自社のニーズに合った付帯サービスが受けられるのであれば、コスト以上の価値を得られる可能性があります。

発行するまでに時間がかかる

法人カードの発行期間はカード会社ごとに異なりますが、一般的には申込後2〜4週間程度を要します。最短では1週間ほどで発行される場合もあります。

発行までに時間がかかる理由は、個人向けクレジットカードよりも審査が厳しい傾向にあるためです。法人カードの審査では、企業の財務状況、事業内容、代表者個人の信用情報などがチェックされます。特に創業直後や経営が不安定な場合は、審査に時間を要します。

発行が間に合わない場合、急な支払いに法人カードを利用できず、業務に支障が出ることがあるかもしれません。その際は、個人のクレジットカードで一時的に立て替える、あるいは審査不要の法人向けプリペイドカードやデビットカードを活用するなどの代替手段も検討しましょう。

キャッシング機能が利用できない場合もある

まとまった現金が必要な際には、クレジットカードのキャッシングを利用するという手段を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、法人の場合は貸し倒れリスクが高いため、キャッシング機能が付与されないのが一般的です。

ごく一部にはキャッシング機能付きの法人カードもありますが、種類は限られています。資金が必要な場合は、銀行のビジネスローンなど他の手段を検討するのが現実的です。

なお、個人事業主向けのビジネスカードでは、キャッシング機能が利用できるケースもあります。現金を確保したいときは、カードを選ぶ際にキャッシング機能の有無を確認しておきましょう。

追加発行のカード枚数に上限がある

法人カードでは、従業員用の追加カードを発行できますが、発行枚数に上限がある場合があります。発行可能な枚数は、カードの種類やグレードによって異なり、数枚〜数十枚程度が一般的です。

多くの従業員にカードを持たせたい場合は、追加カードの発行枚数が多い「コーポレートカード」や、複数の法人カードを契約するなどの対応が必要です。そのため、すべての従業員にカードを配布できるとは限りません。利用頻度や業務内容を考慮し、経費精算が多い部署や社員を優先するなど、配布方針を明確にしておきましょう。

不正利用を防ぐための対策が重要になる

法人カードを従業員に持たせる場合、私的利用などの不正利用リスクが発生する可能性があります。例えば、経費として認められない私物の購入や、個人的な出費への流用などが一例です。不正利用を防止するには、カード利用に関する社内ルールの明確化、利用明細の定期チェック、利用制限の設定など、管理体制の整備が重要です。

従業員数の多い大企業や、外勤従業員が多く使用実態の把握が難しい企業では、社内教育や内部監査を導入し、不正利用防止に努めましょう。ただし、管理体制の強化には一定のコストや工数がかかるため、自社の体制に合わせた現実的な対策を検討することを推奨します。

従業員同士による使い回しはできない

法人カードを従業員同士で使い回す行為は、カード会社の規約違反に該当します。たとえ法人名義のカードであっても、名義人は法人代表者であり、それ以外の従業員が使用することはできません。

代表者以外がカードを使う場合は、個人名と社名が記載された追加カードを発行する必要があります。1枚のカードを複数人で共有したり、他人名義のカードを使ったりすることが発覚すれば、最悪の場合、法人全体でカードの利用が停止されるおそれもあります。

トラブルを防ぐためにも、社内で法人カードの利用ルールを明確にし、マニュアルを整備したうえで、従業員へ周知徹底を図りましょう。

法人カードの選び方

法人カードを導入する際に「どのカードを選べば良いのかわからない」と悩むことは少なくありません。ここでは、自社に合ったカードを見極めるために押さえておきたい主なチェック項目を紹介します。

年会費

法人カードの年会費は、無料のものから10万円以上の高額なものまでさまざまです。中には、年間利用額などの条件を満たせば、翌年以降の年会費が永年無料になるカードもあります。追加カードの年会費は、無料もしくは1枚ごとに数百円~数千円程度です。

年会費が高いカードほど、充実した付帯サービスや手厚い保険、利用限度額の高さが魅力です。単にコストだけで判断せず、サービスや特典とのバランスを見て選ぶことが大切です。

なお、年会費は経費計上が可能です。サービスや特典とのバランスを見て選ぶことが大切ですが、例えば予備用のカードや経費精算の効率化を目的とするなら、年会費無料のカードでも十分に役立ちます。

利用限度額

法人カードの利用限度額は、カード会社やグレード、審査結果によって異なりますが、500万円程度に設定されるケースが一般的です。

実際の利用限度額は審査によって決まるため、カードに設定されている利用限度額が必ず適用されるわけではありません。申し込み時に希望額を申請できる場合もありますが、基本的には設立年数や経営状況、代表者の信用情報などにより、カード会社が独自に上限を判断します。

限度額が低く設定されていると、すぐに上限に達しビジネスに支障をきたす恐れもあります。増額申請を検討するか、実績を積み重ねることで後に限度額が引き上げられる可能性もありますが、申請が必ず通るとは限らない点には注意が必要です。

限度額を十分に確保したいときは、複数の法人カードを使い分ける方法もあります。しかし、管理負担が増えるため、原則として1枚に集約する方が運用しやすくなります。

付帯サービス

法人カードには、ビジネスをサポートする多彩な付帯サービスが備わっており、一般的に、カードのグレードが高いほど、サービスの内容も充実しています。例えば最上位のプラチナカードでは、高級ホテルの優待やコンシェルジュサービスなど、より上質なサポートを受けることが可能です。

自社の業務において頻繁に利用するサービスがある場合は、その機能が含まれたカードを選ぶことで、コストパフォーマンスが向上し、業務効率化にもつながります。海外出張が多い企業であれば、海外旅行傷害保険の付帯や空港ラウンジの利用、海外キャッシング機能が備わったカードがおすすめです。

追加カードの発行上限

追加カードの発行可能枚数はカード会社やカードの種類によって異なります。ビジネスカードの多くは20枚程度が目安とされますが、なかには従業員の人数分まで発行できるカードもあります。導入前に、発行可能枚数を必ず確認しておきましょう。

より多くの追加カードが必要な場合は、大企業向けのコーポレートカードを検討するのもひとつの方法です。ただし、カードの枚数が増えるほど管理の手間も大きくなるため、運用体制の整備が欠かせない要素となります。

また、カードによっては利用限度額や利用先を個別に設定できるため、使いすぎや不正利用の防止にも効果的です。使用時のみ従業員にカードを渡す運用ルールを設けると、さらにリスクを抑えられます。なお、追加カードは必要な範囲内での発行が基本です。使い回しはカード会社の規約違反となるため、従業員ごとに正しく発行・管理しましょう。

ポイント・マイルの還元率

法人カードをより効果的に活用するために、ポイントやマイルの還元率も確認しましょう。カードごとに基本の還元率が異なるほか、一定の利用条件を満たすことで還元率がアップするものもあります。

例えば、特定のサイトや店舗での決済に対してポイントが多く付与されるカードもあるため、よく利用する取引先や購入先が対象かどうか事前の確認が必要です。また、追加カードの利用分が本カードに合算される仕組みなら、効率よくポイントを貯められます。

貯まったポイントやマイルは、備品の購入や他社ポイントとの交換、航空券への交換、カードの支払い充当などに利用可能です。法人カードは決済金額が大きくなるため、特にマイルは貯まりやすく、出張の多い企業にとっては航空チケットに交換すれば経費削減が期待できます。

ただし、法人カードで貯まるポイントは、あくまで企業の経費によって発生するものです。従業員が個人的に使用しないよう、社内で利用ルールを明確に定めておきましょう。カード会社ではポイントの使用に関して明確な制限を設けていない場合が多いため、企業側での管理が重要です。

会計ソフトとの連携

会計ソフトと連携できる法人カードを選べば、利用明細が自動で取り込まれ、仕訳や帳簿入力まで自動化できます。これにより人的ミスの防止や、経理業務の大幅な効率化が実現します。複数の従業員が法人カードを利用していても、会計ソフトと連携することで経費データの一元管理が可能で、リアルタイムでの使用状況も確認できます。

また、近年の会計ソフトは直感的に操作できるものが多く、会計の専門知識がなくても扱いやすいのが特長です。起業直後の個人事業主や、経理担当者がいない小規模事業者にも適しています。日常的に会計ソフトを活用していれば、確定申告の際もデータをそのまま活用でき、申告作業をスムーズに進められます。

法人カードの審査に影響するもの

法人カードは、個人のクレジットカードと同様に、申し込み後に審査を通過すると発行されます。審査の詳細な基準は公開されていませんが、一般的に以下のような項目が重視されていると考えられます。

法人の設立時期

法人カードの審査では、設立から一定の期間が経過し、経営実績のある企業ほど社会的信用や安定性があると判断され、審査に通りやすくなる傾向があります。

中には「設立〇年以上」など、申し込み条件を明確に定めているカードもあるため事前の確認が必要です。特にゴールドやプラチナといったハイクラスのカードでは、限度額の多さに伴い、経営安定の証として設立年数の条件が設けられているケースが多く見られます。

一方で、審査基準に設立年数を明示していないカードもあります。その場合は、設立間もない企業であっても、事業計画や財務状況などから信用が認められれば発行される可能性があります。

財務状況

法人カードを申し込む際には、決算書・財務諸表・確定申告書など、財務状況を確認できる書類の提出が求められることがあります。提出が任意のケースもありますが、準備しておくと安心です。

キャッシュフローの状況なども加味されるため、赤字決算だからといって必ず落ちるとは限りませんが、やはり財務状況が良好なほど審査には通りやすくなります。ただし、ゴールドやプラチナなどの高グレードカードでは、黒字決算が条件になっていることもあり、利用限度額が大きいカードほど審査は厳しくなる傾向があります。

財務面での審査が特に重視されるのは、主に大企業向けのコーポレートカードです。一方、個人事業主がビジネスカードを申し込む場合は、法人としての財務状況よりも、申込者本人の信用情報が重視されるケースが多く見られます。

固定電話番号・屋号の有無

事業用の固定電話番号や屋号の有無が審査に影響する場合もあります。固定電話は、事業所の実在性を示す有力な情報源とされ、大手カード会社では番号宛に実際に確認の電話を行うケースも少なくありません。不特定多数の社員が応答できる固定電話の存在は、企業の信頼性を高める要素となります。

なお、固定電話とはいえ、IP電話で問題ない場合もあります。また、屋号付きの銀行口座を使用すると、より信頼性が高まる傾向があります。一方で、近年では携帯電話の番号でも申し込める法人カードが増えており、固定電話は必須ではないケースも見られます。

カード会社によっては、固定電話番号の記載が必須条件となっている場合もあるため、申し込み前に要件を確認しておきましょう。

法人代表者・個人事業主の信用情報

法人カードの審査では、法人全体を対象とするケースと、法人代表者や個人事業主の個人信用情報を重視するケースがあります。法人審査では資本金や経営実績が見られる一方、個人審査では代表者や個人事業主の信用情報が大きく影響すると考えられます。

信用情報とは、クレジットカードやローンの利用履歴、返済状況、借入の有無などの情報で、一定期間にわたって信用情報機関に記録されます。延滞や未払いが複数回にわたり発生していると、審査においてマイナス評価につながる可能性があります。

その他、多重申し込み・債務整理・自己破産といった履歴も不利な要因です。反対に、クレジットカードやローンの利用履歴がまったくない「スーパーホワイト」も、信用実績が判断できず不利になるケースもあるため注意が必要です。

特に法人カードは、利用限度額が大きいことから信用情報による審査は厳しくなる傾向があります。設立間もない企業の場合、法人としての信用実績が乏しいため、個人信用を基に審査が行われるカードを選ぶのがおすすめです。

法人カードとは、企業・個人事業主向けのクレジットカードです。その中でも、中小企業・個人事業主向けはビジネスカード、大企業向けはコーポレートカードと呼ばれます。

法人カードは経費精算の効率化や経費の透明化、ガバナンス強化、ビジネス向け付帯サービスや特典が受けられるなどの特徴があります。

選び方は、自社がよく利用する付帯サービスがあるか、利用限度額が自社に合っているか、年会費など自社の状況に合っているかをポイントにすると選びやすくなります。

自社と相性のよい法人カードを選び、メリットを活用して業務に活かしましょう。

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