【IT導入補助金2022】中小企業のセキュリティ対策費用の1/2を2年間補助

2022/12/19

最近、中小企業もランサムウェアの被害に遭うケースが急激に増えてきています。ランサムウェアとは、感染すると端末等に保存されているデータを暗号化して使用できない状態にした上で、そのデータを復号する対価として金銭を要求する不正プログラムです。その他にもEmotet(エモテット)と呼ばれるウィルスへの感染を狙うメール攻撃も増えており、実際の取引メールの送信相手になりすますなど、攻撃が巧妙化してきています。普段から社員全員が気をつけているから絶対大丈夫とは言い切れなくなってきています。
どちらもネットワークに接続するパソコンが1台感染しただけで全体に感染を広めてしまい、場合によっては取引先にまで感染を広めてしまうリスクもありますので、「うちは小規模だから」とか、「取られるデータもないから」、などと安易に考えるのは危険です。

ウィルス対策ソフト導入していれば安心とは言い切れない

既に市販のセキュリティ対策ソフトを導入している方がほとんどかもしれませんが、100%安全とは言い切れない面があります。というのも、ウィルス定義ファイルが最新でなかったりすれば保護されませんし、最近ではセキュリティの穴があることが公開されると、その日のうちにその穴を突くウィルスが出回る(ゼロデイ攻撃)事も増えており、攻撃に更新が間に合わないというケースも増加しています。
そこで、市販のウィルス対策ソフトをすり抜けた脅威を監視して、対策をしておくことの必要性が高まってきています。ネットワーク全体を監視する機器(UTM等)を導入する方法、各パソコンを監視(EDR等)する方法、これらを複合的に運用する方法などがありますが、中小企業が単体で導入するにはコストが高いことも多く、セキュリティに詳しい人材が乏しい中小企業がしっかりと運用するのは現実的には難しいことも多いようです。さらに、いざ感染が発覚した際にどのように対策や復旧を行うか、さらには損害賠償のことまで考えることは至難の業かもしれません。

中小企業・個人事業主がセキュリティ対策に使える現実的な補助金=IT導入補助金

政府も対策を進めており、「IT導入補助金2022」ではセキュリティ対策推進枠として、セキュリティ対策にかかる費用の1/2を最長2年間まで補助しています。補助対象になるのは、一般的な市販品のセキュリティ対策ソフトではなく、その導入を前提とした追加の対策に必要な費用になります。具体的には、企業単体では対策が難しい中小企業や個人事業主でも使いやすいよう、「見守り」「駆付け」「保険」をワンパッケージにして安価に提供する「サイバーセキュリティお助け隊サービス」新しいウィンドウで開くの利用料になります。監視だけでなく、脅威が発見された際のリモートや現場での対応、損害賠償責任が発生した際の保険までセットになったサービスになっており、安心かつ安価なサービスになっています。
最長2年分までの利用料を補助対象にでき、補助率1/2、補助額は5万円~最大100万円までになります。既にIT導入補助金2022の通常枠やデジタル化基盤導入類型で交付決定を受けている方でも、追加で利用できる枠になります(既に補助されたツールの場合を除く)。新しく始まった枠のため、まだまだ申請件数が少なく、ほとんどの方がそのまま採択されているというくらいの高い採択率になっています。2023年2月16日(木)17:00まで申請を受け付ける予定ですので、早めに活用してセキュリティレベルを高めておきたいところです。

著者:西内 孝文(にしうち たかふみ)

税理士・特定社会保険労務士・中小企業診断士・特定行政書士・CFP(R)の複数の資格を活用してワンストップで課題を解決できるユナイテッド・アドバイザーズグループを主宰。補助金・助成金等の支援では、着手金無しの業務報酬後払制により支援を行っており、成果にコミットした支援を行っている。

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