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2023-10-05更新
信用保証協会について(3:素朴な疑問編)
2021/02/19
実際に信用保証協会を利用するようになると、「保証審査のポイントって何だろう?」「信用保証協会に直接交渉してもよいのか?」など、素朴な疑問を抱くことがあると思います。ここでは5つの素朴な疑問に関して説明させていただきます。
信用保証協会はどのような基準で保証審査をしているのでしょうか?審査基準については特に公開されているわけではありませんので、実情のところは分かりません。ちなみに、東京信用保証協会のホームページには、保証審査にあたっては、下記の4つのポイントを重点に審査すると掲載されています。
以上の項目については、非常に常識的な範囲の内容だと思われます。もう少し詳細に、予測を含めた説明をいたします。
まずは、事業内容以前の問題として、信用保証の対象となるかどうかの審査をします。たとえば以下のような要件が考えられます。
など
資金使途は信用保証協会に限らず、金融機関の融資審査においても最も重要視される審査ポイントの一つです。たとえば以下のような点に注視していると思われます。
信用保証協会は直接融資をするわけではありませんが、貸し倒れた場合は金融機関に代位弁済します。よって、資金繰り状況、資金調達力、財務諸表などを基に、総合的な返済能力を判断するのは当然のことです。たとえば以下のような点に注視していると思われます。
やはり経営者としての資質についても判断します。企業経営力、経営意欲、信頼性とは、たとえば以下のような点に注視していると思われます。
また、経営理念・ビジョン、経営哲学・考え・方針、後継者の有無や育成状況なども、状況に応じて審査のポイントになる場合もあると思われます。
信用保証協会は事業者に対して“融資”をするわけではありません。信用保証協会は“債務の保証”をしています。事業者に対して融資をするのは「金融機関」です。意外とのこの点について勘違いされている事業者の方もいますので、あらためて認識しておいてください。
それでは、融資する・しないの“審査”をしているのは「金融機関」でしょうか?それとも「信用保証協会」でしょうか? 専門家によっては、「信用保証付きの融資は窓口となる“金融機関”次第である」と主張されている方もいれば、「信用保証付きの融資は、保証審査をする“信用保証協会”次第である」と主張される方もいます。
結論からいいますと、どちらの主張も間違いではありません。窓口となる金融機関から「たとえ信用保証があっても融資をしません」と言われれば、事業者は融資を受けることができません。また、たとえ金融機関が融資をしたくても「信用保証がなければ融資はできません(プロパー融資は無理です)」と言われれば事業者は融資を受けることができません。
前者の対応策としては、他の金融機関にお願いするのも一案でしょう。後者の場合は、金融機関の担当者を通して、直接、信用保証協会に働きかけるのも一案です。
一般的に、金融機関は、実績の乏しい創業者や小規模・零細事業者に対して、積極的にプロパー融資(信用保証の付かない金融機関独自の直接融資)をすることはできません。そのような事業者に対しては、基本的には「信用保証協会の保証があれば融資する」というスタンスです。よって、そういう意味においては、“信用保証協会”次第と言えるのかもしれません。そういう意味において、たとえ信用保証付き融資においても、金融機関は金融機関として審査をしますが、やはり、信用保証協会の保証審査が重視されるといえるのではないでしょうか。
取引先の金融機関から「信用保証協会の保証がおりないので融資することはできません」と言われて融資を受けることができないケースは多々あります。実績のある事業者においては、信用保証を利用せずにプロパー融資を受けることも可能な場合もありますが、実績の乏しい事業者においては、原則として、やはり信用保証付き融資を利用して資金調達をするしか方法はありません。
そのようなときは、まずは金融機関に謝絶理由を聞いて、「●●××のように対処しますので、もう一度、信用保証協会に打診していただけませんか?」とお願いしてみましょう。それでも無理な場合は、金融機関の担当者に「信用保証協会に直接交渉させていただけませんか?」とお願いしてみましょう。金融機関や担当者にもよりますが、信用保証協会の担当者を紹介してくれる場合もあります。金融機関を経由せずに、事業者が自ら直接、信用保証協会に直談判される方もいますが、できれば窓口になった金融機関の立場を考慮して担当者を経由することをお勧めします。
また信用保証協会によっては、事業者からの直接の相談を受け付けたがらない傾向のところもあります。その場合は、原則として金融機関経由で交渉するしかありませんが、なかなか進捗しない場合は、やはり事業者から信用保証協会に直談判するしかありません。
このようなケースは、とても微妙な判断になりますので、まずは顧問税理士に意見を聞いてみましょう。さらに、できれば資金調達や融資の専門家に相談されることをお勧めいたします。
信用保証協会は、全国47都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にあり、それぞれ独立採算の運営をしています。よって、事業者への様々な対応については、やはり地域差(協会差)があるといえます。
「素朴な疑問その3:信用保証協会に直接相談してもよいのか?」にて説明しましたが、事業者からの直接の相談に対して積極的に応じている信用保証協会もありますが、積極的には応じない傾向の信用保証協会もあります。
また、たとえばですが、ある案件を東京信用保証協会と北海道信用保証協会が同時に保証審査したとしたら、異なる結果になるかもしれません。両社の信用保証協会にはそれぞれの独自の判断基準があり、結果が異なる可能性はあります。保証審査においては、「●●県の協会なら保証してくれそうな案件なのに、××県の協会は審査が厳しくて保証してくれない」というようなケースも無いわけではありません。
また、たとえば、神奈川県には「神奈川県保証協会」「横浜市信用保証協会」「川崎市信用保証協会」があります。つまり、“横浜市”の事業者は、「神奈川県保証協会」「横浜市信用保証協会」の二つの協会を利用できる機会があるということです。
同じ保証協会でも「神奈川県保証協会」と「横浜市信用保証協会」では異なる結果になる場合もあります。「神奈川県保証協会」は駄目だったが、「横浜市信用保証協会」では大丈夫だった、というような事例もあります。横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市に所在している事業者は、二つの信用保証協会を利用することができる機会がありますので、メリットではありますが、同時に悩みどころでもあります。また、本店以外、支店等所在地の信用保証協会も可能性は低いですが、状況によっては利用できる場合もあります。この場合、取引先の金融機関や自治体窓口などの意見やアドバイスを受けるのも一案です。
保証協会団信とは、信用保証協会からの債務保証を伴って融資を受けた債務者が、その債務を全額返済されないうちに死亡、もしくは所定の高度障がい状態に該当といった不測の事態に陥られた場合に、一般社団法人全国信用保証協会連合会が生命保険会社から受取る保険金をもとに、金融機関に対する債務を弁済することにより、事業の維持安定とともに、家族の安心を図ることを目的とした制度のことをいいます。
保証協会団信の特徴は以下通りです。
万一のこと(死亡もしくは所定の高度障がい状態に該当)があった場合、残債務額が一般社団法人全国信用保証協会連合会から金融機関に弁済されます。
保証協会団信加入にあたり支払いいただく特約料(年払)は、毎年1回の支払時の融資残高をもとに計算されるため、余分な負担がありません。
お申込み手続きは健康状態等の告知による手続きで、医師の診査は不要です。ただし、申込みの保険金額(借入金額)が5,000万円を超える場合には、所定の「健康診断結果証明書」の提出が必要となります。
さて、事業者の最大の関心は、「保証協会団信に加入しないと、信用保証を受けることはできないのか?」ということでしょう。信用保証協会は、「保証協会団信への加入と保証の諾否は関係ありません。保証協会団信は、お客様のご希望に基づきご利用いただける制度です」とアナウンスしています。よって、保証協会団信に加入しなくても、保証審査の結果は左右されない、ということになります。
株式会社MBSコンサルティング代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。
主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。
また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。
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