災害・疾病等、環境変化による緊急時の資金調達(3)

2020/04/17(2021/9/15更新)

施策の調べ方

事業者が災害による被害を受けた場合は、基本的には後述する「災害救助法」及び「激甚災害指定」に基づく対策が実施されますので、先ずは、この概要をしっかりと整理しておいてください。疾病の流行に関しては、形が定まっていない状態です。国からの情報を見逃さないようにしましょう。
さらに、各自治体においても独自の対策などを実施しますので、必ず確認するようにしましょう。また、専門家や専門窓口などに施策の問い合わせをしてもよいでしょう。具体的には以下のような窓口があります。

1. 顧問税理士などの専門家

先ずは顧問税理士に問い合わせてみてください。万が一、顧問税理士が対応できない場合は、専門家の紹介などを依頼してみてください。

顧問税理士からの紹介を受けることが困難なときは、インターネット等で専門家を探すことをお勧めします。たとえば、資金繰り施策などが知りたければ、資金調達を専門としている経営コンサルタントや中小企業診断士、経産省系補助金でしたら認定支援機関、厚労省系の助成金なら社会保険労務士になります。

しかしながら、顧問税理士や近隣の専門家なども被災や対応に追われている可能性も高いため、ある程度離れた地域の専門家や公的機関窓口に問い合わせをせざるを得ないかもしれません。

2. 公的機関窓口

災害発生時は、公的な窓口でも各種の質問や相談に応じてくれます。たとえば、地元自治体、日本政策金融公庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、よろず支援拠点、全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構本部、経済産業局などです。

また、2020年4月よりミラサポPLUSがスタートしています。中小企業・小規模事業者向けの補助金申請や事業支援のサポートを目的とした、国のWebサイトです。こういった公的WEBサイトから施策の情報収集をすることもできます。

3. 取引先の金融機関

もちろん取引先の金融機関に施策の相談をすることもできます。しかしながら、情報量については、金融機関の規模や支店、担当者などに左右されることもあります。やはり小規模・中小企業事業者の施策については、メガバンクより、信用金庫や信用組合の方が詳しいと思われます。また、取引先の金融機関(支店)も被災している可能性が高いですので、思うように対応ができない可能性も否定できません。

事例から学ぶ

現在・過去の事例から、支援策がどのように展開されたのか、時系列をたどって見ていきます。

  • 被害の規模が明らかになるにつれ、支援策が拡充していくこと
  • ほぼ同じような支援策になること

が、見えてくると思います。

事例「新型コロナウイルス」(2021年9月上旬時点)

2020年春以降、世界的に猛威を振るっている新型コロナウイルス。こちらに関する中小企業・小規模事業者向けの支援は、まず2020年1月29日に相談窓口が開設されました。

具体的には、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会及びよろず支援拠点、並びに全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構及び各地方経済産業局等に「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」が設置されたのです。

その後、事業者の資金繰りに支障が生じないよう金融機関等への要請がされ、セーフティネット貸付の緩和が実施されます。そして、2月13日に「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策(第1弾)」が予備費103億円を講じることにより、総額153億円の対応策として実施されました。

さらに、3月10日に緊急対応策第2弾として資金繰り対策等に万全を期すため日本政策金融公庫等に総額1.6兆円規模の金融措置が実施されました。

新型コロナウイルスに関しては、各種施策が実施されており、あらたな施策の創設や要件の緩和などが随時行われています。具体的な施策などについては、経済産業省の施策総合窓口で確認することをお勧めいたします。資金調達の関連施策も随時更新されていますので、是非ご確認ください。

また、弥生株式会社の「新型コロナウイルスに関する中小企業・個人事業を対象とした行政等の支援情報」も随時更新していますので、ご確認ください。

事例「平成30年北海道胆振東部地震」

平成30年度北海道胆振東部地震は、2018年(平成30年)9月6日に、北海道胆振地方中東部を震央として発生した地震のことです。

この際に政府が実施した中小企業施策/資金調達施策について説明いたします。既に過去の出来事ではありますが、地震が発生した場合の対応について知っておくと今後の役に立つと思われます。

平成30年度北海道胆振東部地震の際は、9月6日に災害救助法が適用され、その後、適用地域が拡大していき、9月28日には激甚災害指定による対応策が実施されました。さらに、平成31年3月22日には中小企業信用保険法の特例措置について、適用期限を平成32年3月31日まで延長することが公表されました。

事例「平成30年7月豪雨」

平成30年7月豪雨とは、2018年(平成30年)6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に北海道や中部地方を含む全国的に広い範囲で記録された、台風7号および梅雨前線等の影響による集中豪雨のことです。

この際に政府が実施した中小企業施策/資金調達施策について説明いたします。既に過去の出来事ではありますが、豪雨や台風などが発生した場合の対応について知っておくと今後の役に立つと思われます。

平成30年7月豪雨の際は、7月6日に災害救助法が適用され、その後、適用地域が拡大していき、7月24日には激甚災害指定による対応策が実施されました。その後、8月末までに適用地域が追加されました。

著者:吉田 学(財務・資金調達コンサルタント)

株式会社MBSコンサルティング代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。
主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。

また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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