資金調達が必要になった場合の税理士・会計事務所の活用方法(1)

2019/09/30(2021/9/15更新)

資金調達に困ったら税理士事務所に相談してみよう!

資金調達に困ったらまずは顧問税理士に相談することをおすすめします。しかしながら、提供できる資金調達支援の内容は税理士事務所によってさまざまです。

まずは、税理士に以下の3つの質問をしてみましょう。

  • 1.
    事務所で資金調達支援をしているのか?
  • 2.
    認定支援機関に登録しているのか?
  • 3.
    (事務所で資金調達支援をしていない場合)資金調達の専門家の紹介をしてくれるのか?

1. 事務所で資金調達支援をしているのか?

「1. 資金調達支援をしているのか?」についてですが、「資金調達手段の提案」、「借入条件の検討」、「融資書類作成の支援」、「補助金の申請支援」、「事業計画の作成支援」、「金融機関交渉の支援」など、やりたいことを元に具体的に質問してみましょう。そして、アドバイスを頂けるようでしたら顧問税理士の指導の下、申請手続きなどを行ってください。

2. 認定支援機関に登録しているのか?

次に、「2. 認定支援機関に登録しているかどうか?」ですが、これについてはぜひ確認してください。日本政策金融公庫の「経営力強化資金」の申請支援、「ものづくり補助金」の申請支援など、認定支援機関の支援があってはじめて申請できる公的制度があります。

[参考]認定支援機関とは?

経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、中小企業・小規模事業者が安心して経営相談等が受けられるために、専門知識や、実務経験が一定レベル以上の者に対し、国が認定する公的な支援機関です。具体的には、商工会や商工会議所など中小企業支援者のほか、金融機関、税理士、公認会計士、弁護士等が主な認定支援機関として認定されています。

出典:ミラサポplus https://mirasapo-plus.go.jp/supporter/certification/ 新しいウィンドウで開く

[参考2]経営力強化資金とは?

認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の指導や助言を受けて、新事業分野の開拓等を行う事業者の経営力や資金調達力の強化を支援する融資制度のことをいう。認定支援機関の指導を受けているため、比較的、融資が受けやすいといわれている制度でもある。

出典:日本政策金融公庫 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/64.html 新しいウィンドウで開く

3. (事務所で資金調達支援をしていない場合)資金調達の専門家の紹介をしてくれるのか?

最後に、「3. 資金調達の専門家の紹介をしてくれるのか?」についてですが、顧問税理士が「資金調達支援をしていない」という場合に資金調達の専門家を紹介してくれるかどうか確認してください。もし、紹介してくれるのなら顧問税理士と一緒に支援してくれるかもしれませんので、とてもありがたいですよね。

顧問税理士事務所が資金調達支援をしていない場合、どうすれば?

顧問税理士が資金調達支援をしてくれればとてもありがたいことですが、もし、支援を提供しておらず、また、専門家の紹介もできない、ということでしたらどうすればよいでしょうか?

選択肢としては以下の3つがあります。

  • 1.
    自力(独力)で資金調達活動をする
  • 2.
    自ら資金調達の専門家やコンサルタントを探す
  • 3.
    資金調達に強い税理士事務所を探してみる

1. 自力(独力)で資金調達活動をする

まずは「自力(独力)で資金調達活動をする」ですが、これはかなりハードルが高いです。経営者として十分な銀行交渉の経験などがあれば別ですが、そうでない場合はやはり専門家からのアドバイスを受けることをお勧めします。

2. 自ら資金調達の専門家やコンサルタントを探す

次に「自ら資金調達の専門家やコンサルタントを探す」ですが、インターネットで検索をすればたくさんの専門家がいます。もし、顧問税理士が認定支援機関でない場合は、認定支援機関に登録している外部の専門家(中小企業診断士や行政書士などの士業や民間の経営コンサルタントなど )をお勧めします。

しかしながら、その中から自分にとって最適な専門家を探し出すのは難しいことかもしれません。そのようなときには、第三者の意見として顧問税理士の意見を聞いてもよいと思われます。

また、外部の専門家に資金調達支援の依頼をする際に、顧問税理士が連携してくれると支援がスムーズに進みます。実際のところ、外部の専門家も助かりますので、事前に顧問税理士に「外部の専門家に資金調達支援を依頼するのですが、必要に応じて、先生も協力していただくことはできますか?」と確認することをお勧めします。例えば「資金繰り表の作成」について協力してもらえるかどうか、確認してみてください。

ちなみに、商工会・商工会議所、自治体の融資相談窓口、中小企業庁管轄のよろず支援拠点・地域プラットフォーム、日本政策金融公庫や信用保証協会といった公的性質のある機関は、融資相談だけでも応じてくれますので、状況に応じて検討してみてください。

3. 資金調達に強い税理士事務所を探してみる

最後に「資金調達に強い税理士事務所を探してみる」ですが、既に顧問税理士がいる場合、別の税理士に相談するというのは、少々気が重いかもしれません。また、「資金調達支援は顧問先企業に限定した支援」としている事務所が多いかもしれません。しかしながら、資金調達の支援だけでも対応してくれる税理士・会計事務所も存在します。

関連リンク

著者:吉田 学(財務・資金調達コンサルタント)

株式会社MBSコンサルティング代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。
主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。

また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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