融資・借り入れってなに? まずはこちらをチェック
2024-07-26更新
2020/12/11(2022/5/19更新)
金融機関(銀行、信用金庫、信用組合など)の融資は、大きく「制度融資/信用保証付き融資」と「プロパー融資の申し込みに必要な書類(信用保証協会を介さない融資)」に分けられます。さらに、現在、金融機関は「事業性評価融資」を積極的に取り入れています。信用保証付き融資の場合は、ある程度決められた書類などがありますが、プロパー融資の申し込みに必要な書類や事業性評価融資は金融機関によってそれぞれ書類が異なっています。
自治体の創業融資制度を申請する際の信用保証協会に提出する書類については、「創業融資の際に必要な資料:信用保証協会の手続き」にて説明していますので、参考にしてください。ここでは、創業者ではない個人事業者、中小企業向けの必要な書類について解説いたします。
「(自治体)制度融資」とは、主に地方自治体、民間金融機関、信用保証協会の3者が連携して保証付きで融資を実行する制度です。また、信用保証協会が単体で実施する保証制度もあります。このような信用保証の付いた制度のことを総じて「信用保証付き融資」と呼びます。
書類については、それぞれの制度指定の事業計画書などが用意されている場合もありますので、Webサイトなどで調べたり、金融機関や信用保証協会などに相談するようにして下さい。信用保証協会に信用保証の申し込みをする際には、主に以下のような共通書類を提出する必要があります。
申し込みの都度(法人、個人共通) |
|
---|---|
保証協会を利用していない事業者 |
共通
法人
個人
|
保証協会を利用している事業者 |
共通
法人
個人
|
その他、必要に応じて必要な書類 |
など |
以下、共通書類で特に重要な「信用保証委託申込書」「保証人等明細」「申込人(企業)概要」についてご紹介いたします。
信用保証協会は提出する書類が多いので、取引先の金融機関や信用保証協会。自治体制度融資の場合は、自治体などに相談しながら申請手続きを進めるようにしてください。特にはじめての取引の際には、各窓口が丁寧に教えてくれます。
プロパー融資とは、信用保証協会などを利用せずに、金融機関が事業者、企業に対して直接する融資のことをいいます。プロパー融資の場合、金融機関が100%全ての責任を負って融資をします。
金融機関は、決算書や事業計画書、担保、保証人などの信用力をもとに、返済能力などを判断して、融資額や金利、返済期間などを決定します。よって、提出書類は金融機関や貸出先企業の状況などによって変わります。そのため、その都度、金融機関から指示を受けることになります。
中小企業がプロパー融資を受ける際は、相談する前に、事業計画書や損益計画書、資金繰り計画表などを準備しておくべきです。これらのことが当たり前のように準備できる企業でないとプロパー融資を受けることは困難だといえます。
一般的には、以下のような書類が必要となりますが、融資交渉の都度、金融機関からの指示を受けて用意してください。基本的には、全て、事業内容や会社の状況など詳細に伝えるための資料ばかりです。
当然のごとく準備しておきたい書類
必要に応じて追加して提出する書類
以下に、損益計画書、資金繰り表、金融機関取引先一覧表のサンプルを例示します。しかし、これらに“全国統一”のような決まった雛形はありません。作成方法の不明な点については、顧問税理士や銀行融資の専門家などに相談するようにしてください。
事業性評価融資とは、「現時点での財務データや、担保・保証にとらわれず、企業訪問や経営相談等を通じて情報を収集し、事業の内容や成長可能性などを適切に評価して」融資する手法のことをいいます。簡単にいいますと、従来のような担保や連帯保証にとらわれるのではなく、企業の事業内容や将来性について目利きをして融資をする手法のことをいいます。これもプロパー融資の一つであり、現在、多くの金融機関が事業性評価融資に積極的に取り組んでいます。
事業性評価融資には、既に説明した 「プロパー融資」で提出する書類も必要となりますので参考にしてください。なお、筆者が複数の金融機関にヒアリングをしたところ、事業性評価融資においては、加えて以下のような書類が揃えば審査がスムーズに進むと思われます。
事業性評価融資に必要な書類
事業性評価融資に必要な書類に関しては、各金融機関によって異なります。金融機関や顧問税理士、専門家などと連携した上で必要な書類を作成するようにしてください。
以下、「企業概要書 / 事業性評価シート」「俯瞰図/商流図/ビジネスモデル図」「財務分析報告書(ローカルベンチマーク)」について簡潔に説明いたします。
企業概要書および事業性評価シートは、正確には別物ですが、同一のものとして扱っている金融機関もあります。主に金融機関側が事業者にヒアリングをしながら作成するもので、金融機関によってフォーマットは異なります。直近で事業性評価融資を受ける予定がなくても、取引先の金融機関に「事業性評価シート」を見せてもらって自ら作成してもよいかもしれません。また、日本政策金融公庫のように、企業概要書が用意されている場合もあります。これらの書類は「自社」のことを知ってもらうために必要な書類です。
俯瞰図とは、企業の商流やビジネスモデルを現した資料です。自社と取引先、顧客との関係や商流を図表化したものです。金融機関は全取引先企業のビジネスモデルを理解しているわけではありません。たとえ事業性評価融資を申請しない事業者においても、是非、自社の俯瞰図を作成してみてください。取引先金融機関に提出すると喜ばれます。
【参考】モデル事業報告書(早期経営改善計画報告書)
財務分析報告書とは、過去2~3期分の財務分析結果などについてまとめた資料です。特に雛形などはありません。また、金融機関が絶対的に要求するものではありませんが、こういう資料を作成して金融機関に提出することができれば、金融機関としては事業性を評価する際の参考になります。
また、ローカルベンチマークツールを作成して金融機関に提出することで、財務分析報告書の代わりになるとも考えられます。また、ローカルベンチマークツールには「商流・業務フロー」の雛形もあり、ビジネスモデル俯瞰図の代用にもなると考えられます。
ローカルベンチマークとは、企業の経営状態、つまり「健康診断」を行うツール(道具)として経済産業省から公表されているものです。経営者、金融機関、支援機関などが、同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みであり、事業性評価の「入口」として活用されることが期待されています。
株式会社MBSコンサルティング代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。
主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。
また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。
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