資金調達が必要になった場合の税理士・会計事務所の活用方法(2)

2019/09/30

顧問税理士事務所に動いて欲しい5つの支援とは?
~これだけはお願いしてみよう!~

資金調達支援において、特に顧問税理士に支援してもらうと効果的なのは、以下5つです。これらについては資金調達支援をしていなくてもぜひとも顧問税理士に支援依頼をしてみましょう。たとえ外部の専門家に相談したとしても協力して支援してくれればとても助かります。

  • 1.
    経営力強化資金の申請支援
  • 2.
    ものづくり補助金などの経産省系補助制度の申請支援
  • 3.
    資金繰り表などの作成支援
  • 4.
    金融機関(銀行、信用金庫、信用組合)の紹介
  • 5.
    金融機関への同行

1. 経営力強化資金の申請支援
2. ものづくり補助金などの経産省系補助制度の申請支援

特に「1. 経営力強化資金の申請支援」「2. ものづくり補助金などの経産省系補助制度の申請支援」などは、認定支援機関の支援がなければ申請ができないものもありますので、このような制度に関しては、ぜひとも支援依頼をするべきです。

認定支援機関に登録している税理士でも資金調達支援を行っていない事務所もあります。たとえそうだとしても、制度を活用する際は、顧問税理士に協力をお願いしてみましょう。申請資料などは自力や外部の専門家の支援を頂きながら作成するにせよ、認定支援機関である顧問税理士にも資料や損益計画などの確認及びアドバイスをしてもらい、認定支援機関として提出するべき書類の作成、署名・押印をしてもらうなど、手続き支援をしてもらいましょう。

3. 資金繰り表などの作成支援

次に「3. 資金繰り表などの作成支援」ですが、外部の専門家などに支援を依頼した際に、直近の「資金繰り実績表」などが必要となる場合があります。資金繰り表に関しては、外部の専門家より、顧問税理士に協力を仰いだ方が早いと思われます。

また、直近の試算表の作成や予測財務諸表などの作成も、顧問税理士の協力が必要になります。これらに関しては支援をお願いするべきです。外部の専門家やコンサルタントと連携して支援をしてくれればそれがベストですよね!

4. 金融機関(銀行、信用金庫、信用組合)の紹介
5. 金融機関への同行

最後に「4. 金融機関(銀行、信用金庫、信用組合)の紹介」「5. 金融機関への同行」についてです。資金調達支援をしている税理士ならこれらのことは対応してくれるはずですが、そうでない場合も、「付き合いのある金融機関があれば紹介してくれないか?」「(顧問税理士の)顧問先を通して銀行などを紹介してくれることは可能か?」、そして「金融機関の紹介や融資申請の際に同行してくれるのか?」などについてお願いしてみましょう。このような対応をしてくれるととても助かります。

顧問税理士がいない場合どうやって選べばよいのか?

現在、「顧問税理士を探しているが何を基準にして選んでよいのか分からない」という方もいらっしゃると思われます。税理士事務所を選ぶ基準は多々ありますが、今回は「資金調達支援」を希望する場合に限定してご説明いたします。

まずは、当然のことですが、「資金調達支援をしているかどうか」について確認してください。ホームページでも支援案内が出ているのですぐに分かるでしょう。そして、電話なりメールなりにて、以下の質問をしてみてください。できれば一度お目にかかって直接質問されることをお勧めします。

  • 1.
    認定支援機関に登録しているか?
  • 2.
    得意としている支援分野は?
  • 3.
    これまでの実績は?
  • 4.
    金融機関等とのチャネルはあるか?
  • 5.
    顧問料は?

1. 認定支援機関に登録しているか?

まずは「1. 認定支援機関に登録しているか?」についてですが、必ず確認してください。当然ですが、登録されている税理士事務所をお勧めします。

2. 得意としている支援分野は?

次に、「2. 得意としている支援分野は? 」についてですが、具体的には、「公的融資」、「銀行融資」、「補助金」、「事業再生」など、様々な分野があります。「融資」以外にも「補助金」「事業再生」などです。また「ノンバンク」活用などの支援についても確認することをお勧めします。オンライン融資・AI融資などにおいては、現在のところ銀行、信金などより、ノンバンクの方が積極的に推進しています。

3. これまでの実績は?

次に、「3. これまでの実績は?」についてですが、支援実績が豊富であればとても安心です。しかしながら、たとえ支援実績がさほど多くなくても顧問先企業を支えるための専門家とのネットワークを構築しているなど、様々な対策をしている税理士事務所などもありますので、そういう点についても確認もしてみましょう。

4. 金融機関等とのチャネルはあるか?

「4. 金融機関等とのチャネルはあるか?」についてですが、日本公庫や地方銀行、信用金庫、信用組合、ノンバンクなど、知り合いの支店などを有しているかどうかについて確認してください。必ずしもチャネルを豊富に有していないと駄目というわけではありませんが、多くの金融機関と繋がっていると支援を受けやすいと思われます。

5. 顧問料は?

最後に「5. 顧問料は?」についてですが、税務・会計の顧問報酬の中に資金調達支援も含まれるのかどうかについて確認してください。各種申請資料の作成や事業計画(改善計画)、損益計画、資金繰り表などの作成支援について、顧問報酬以外に費用がかかるのか? など、出来る限り事前に確認しておきましょう。

また、その税理士との「相性」もとても大切だと思われます。そうはいうものの相性などを判断するのは大変な困難なことです。長いお付き合いになるので、「この先生からアドバイスを受けたい」と直感的に思えるかどうかも大切なことではないでしょうか。よって、出来る限り希望する税理士に実際に会って、これらの質問をしてみてください。

資金調達が必要になった場合の税理士・会計事務所の活用方法、まとめ

「資金調達が必要になった場合の税理士・会計事務所の活用方法」について、簡潔にまとめました。

顧問税理士が資金調達支援を行っている場合 顧問税理士が資金調達支援を行っていない場合 顧問税理士がいない場合
顧問税理士指導を受ける
  • 1.
    自力で資金調達をする
    • 1)
      顧問税理士が認定支援機関の場合
      • 「経営力強化資金」「ものづくり補助金」などの申請支援
      • 資金繰り表などの作成支援
    • 2)
      顧問税理士が認定支援機関でない場合
      • 事業計画書
      • 損益計画書
      • 資金繰り表などの作成
  • 2.
    資金調達の専門家に頼る
    • 1)
      専門家のアドバイス通りに指導を受ける
    • 2)
      顧問税理士にも一部の支援をお願いする
      • 資金調達専門家との連携
      • 資金繰り表の作成
      • バランスシートの適正化

など

選択基準

  • 1.
    認定支援機関に登録していか?
  • 2.
    得意としている支援分野は?
  • 3.
    これまでの実績は?
  • 4.
    金融機関等とのチャネルはあるか?
  • 5.
    顧問料は?

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著者:吉田 学(財務・資金調達コンサルタント)

株式会社MBSコンサルティング代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。
主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。

また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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