担保付き融資の基本

2022/07/25

担保付き融資とはどのようなものか、企業側と金融機関側から見て担保付き融資には、それぞれどのような役割があるのかを解説します。また、金融間における担保付き融資の動向についても説明します。

担保付き融資とは

担保は、債権を持つ側が「確実に契約内容を履行させるために提供させる」ものです。
そして、その担保を提供して融資をしてもらうことを「担保付き融資」といいます。

金融機関に相談したり、ホームページなどで融資商品を見たりしていると「〇〇担保融資」などの言葉が出てくることがあります。これは「この融資でお金を借りる場合は担保が必要になります」「〇〇を担保にしなければここでは融資できません」ということです。

実際に、金融機関に融資相談をしている際に「担保」という言葉が出れば「融資のために担保を用意する必要がある」と解釈する必要があるでしょう。

企業側、金融機関側から見た担保付き融資の役割

担保付き融資は、金融機関が企業にお金を貸し出す際、仮に返済ができなくなっても一定の資産を回収できるような措置をとるものです。つまり、金融機関からするとリスクヘッジになります。

融資の申し込み側である企業からすると、担保を提供することが「信用」につながりますので、融資を受けられる可能性が高くなります。

金融機関の企業向け融資では、担保や保証を付ける契約は金額ベースで全体の約半分を占めますが、その担保の対象は土地や建物などの不動産に付けられることが多いです。企業が融資を受ける場合、担保を付けると金利を下げやすい利点がある半面、もし不動産や設備を回収されると事業を続けられなくなるというリスクもあります。

近年の金融機関の融資の動向

今まで、金融機関では担保・保証へ過度に依存してきた傾向にあり、融資先である企業の経営や成長力の評価が不十分になっていました。そのため近年になり金融庁は、金融機関に対して企業の成長力などを評価する融資姿勢への転換を促しています。

具体的にいうと、日本では不動産担保や経営者の個人保証に偏重した融資慣行がありましたが、これを見直す議論がされています。金融庁は企業の技術や顧客基盤などの無形資産を事業の価値として評価し、担保にできる新制度を構築、検討しています。資産の乏しい中小企業やスタートアップ企業でも、将来性があればお金を借りやすくなるようなしくみ作りが進められています。

しかし、現状は金融機関ごとに対応にばらつきがあり、今でも「担保付き融資」は多いです。今後も、担保付き融資のしくみを理解したうえで金融機関と取引をする場面が続くことが予測されます。

なお、経営者保証について詳しく知りたい方は「経営者保証ガイドラインの活用」をご覧ください。

また担保付き融資を検索の際には、資金調達ナビの「資金調達手段を検索」をご活用ください。「絞り込む」の機能で、「その他条件」にある「担保提供可(融資のみ)」にチェックマークを入れて検索することができます。

著者:星 武志(経営コンサルタント)

株式会社アスタリスク代表取締役。金融機関、コンサルタント企業、IT企業を経て、2000年代表取締役就任。IT企業、不動産業、商社等の経営戦略、財務戦略、管理会計支援等 を行う。
これまで、銀行等の金融機関の研修・講演講師を70行庫以上務める。主な著書は「渉外マンの現場力/近代セールス社」金融商品取引法・各種業法に基づく「金融商品セールス対応話法集/銀行研修社」等でありその他金融機関向け、雑誌連載実績等多数。

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