融資審査に求められる会計データとは

~事前に知っておくべきポイント~

2024/03/19

資金調達の新しい選択肢として注目される会計データ融資ですが、申し込みの際に会計データエラーとなって審査に進めないことがあるようです。事業に専念したい中小企業にとって、会計データの見直しに時間を割くことは避けたいもの。いざ検討を考えたときに蓄積されている会計データがそのまま提出可能であれば安心感にも繋がります。この記事では、事前に知っておくべき融資審査に求められる会計データのポイントについて解説します。

融資審査の会計データの条件 ~基本的な考え方~

身近な情報資産である自社で記録している会計データの利活用により新たな資料作成などの手間や手続き時間を削減できることが会計データ融資の魅力の1つといわれます。しかしながら提出した会計データがエラーとして戻ってくる場合があり、それも提出した会計データが顧問契約している税理士が決算処理を終えた後となると、その理由に疑問を感じる事業者もいるでしょう。

金融機関において融資審査は重要であり厳密に行われる必要があります。会計データ融資では会計データというリアルタイムに近い状態で日々蓄積された膨大なデータを用いることで、事業を適切に評価し対面融資と同程度の商品性を実現し提供しています。その審査は人手ではなくAIが行っているため、会計データとしては入力項目や数値に一定の形式的な条件が必要となります。また決算処理で作成する決算書は年度単位に集約されたデータであるのに対し、会計データ融資のAIは年度よりも細かい粒度で時系列評価を行っており参照する単位も異なります。

したがって決算処理を終え問題なく決算書を作成できていたとしても融資審査に申し込みでは会計データエラーとなることがあるようです。

申し込み時に生じる会計データエラーとは ~具体例を確認~

事業に専念したい事業者に会計データの詳細知識は必須ではないものの、下記に該当する場合はエラーが生じる可能性があることを知っていると良いでしょう。特に耳にする機会の多い「仕訳」とは、取引を複式簿記のルール(勘定科目)によって分類することを指します。事前に言葉を知っているだけでも安心感が異なりますし、会計ソフト操作がわからず調べたいときにも具体的なキーワードがあると役に立ちます。また、財政状態や経営状況などの把握のためにも会計データはリアルタイムに近い形で入力されることが理想ですが、本業以外に時間を割くことが難しい中小企業では、月単位での入力や登録後に入力の誤りに気が付くこともあるという実態がエラーの発生につながっているようです。

会計データエラーの具体例と対応

直近年度の会計が編集中である 決算処理を実施済みの会計期データを更新すると会計が編集中となるため、再度会計ソフト上で決算処理の完了(繰越処理の実施と次年度更新、決算整理の実施などと呼ばれる)処理を行います
必要期間について毎月仕訳入力が行われていない 取引をまとめて入力すると申し込みに必要な期間について毎月仕訳が存在しないため、実際の取引日にもとづき入力します
現預金残高がマイナスになっている 実際の現預金を入力します
仕訳の貸借が一致していない 仕訳の入力に誤りがあると貸借がバランスしないため、実際の取引にもとづき入力を修正します
期初の残高が入力されていない 2期目以上の会計期では前期の決算処理(繰越処理)により期首残高(開始残高)が作成されますが、設立1期目(事業を始める年度から弥生会計を使い始める)では自動作成がされないため、実際の期初の残高を入力します

会計データ融資の魅力とは

申し込みで必要とされる会計データには一定の条件があるために蓄積している会計データがエラーとなる可能性はありますが、一般的な融資で必要とされる決算書や事業計画書といった資料作成や対面での面談などが不要な点は、会計データ融資の大きな魅力といえるでしょう。会計データをエラーの具体例とともに見てきたことにより、従来の融資で提出する決算書との違いが足元までの状況時系列での変化、情報粒度を細かく伝えられることにあり、会計データを提出することでより事業実態に即した適切な条件の融資を受けられることもイメージできるでしょう。これまで会計データエラーについて解説してきましたが、実際の手続きでエラーとなった場合には理由や見直しの案内を受けて融資審査に進む場合も多く、取引を正確に記録する見直しの機会ととらえていただくのもよいかもしれません。もちろん蓄積している会計データのままエラーなく利用できる事業者も多く、オンラインのデータ提出や入力操作の簡便さ、書類不要の簡略さ、24時間365日時間にとらわれない自由度、申し込みから融資実行までのスピードの速さに驚きの声が聞かれているようです。

この機会に自社で記録している会計データの利活用を検討されてみてはいかがでしょうか。

なお、資金調達ナビ「資金調達手段を検索」から各種資金調達手段を検索いただけます。会計データ融資は ”弥生製品データ利用” を詳細条件に追加し絞り込みください。

※弥生は2024年10月に独自に開発した審査システムを金融機関へ提供するグループ会社、アルトア株式会社を吸収合併しました

著作:アルトア株式会社(英語名:Altoa, Inc.)

弥生株式会社の子会社。2017年より与信モデル・融資支援サービス(LaaS)の開発・提供サポート事業を展開。事業者の事業活動全体が時系列で連続的に記録されている会計データの特徴を活かし、事業者が日々入力している会計データを用いて申し込みできるオンライン融資サービスの普及により、中小企業事業者が本業に専念できる環境の実現を目指す。

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