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2024-07-26更新
2020/12/11(2021/9/15更新)
事業性評価融資とは、従来のような担保や連帯保証にとらわれるのではなく、企業の事業内容や将来性について目利きをして融資をする手法のことをいいます。
事業性評価融資に必要な書類は各金融機関によって異なります。「金融機関への融資申請の際に必要な書類:事業性評価融資」を参考にしてください。
ここでは、「企業概要書 / 事業性評価シート」「俯瞰図/商流図/ビジネスモデル図」「財務分析報告書(ローカルベンチマーク)」の書き方、作成方法について解説いたします。
この企業概要書や事業性評価シートは、特に全国統一のような様式があるわけではありません。下記〈サンプル1〉の事業性評価シートの中には、ビジネスモデル俯瞰図も含まれています。また、財務状況も記載するような企業概要書/事業性評価シートもあり、様式は様々です。
まずは、取引先金融機関に同様のシートがあるかどうかを確認してみましょう。公開・提示していただけるなら、金融機関の担当者の意見を聞きながら作成するのも一案です。又は、自作で〈サンプル1〉のようなシートを作成してもよいですし、〈サンプル2〉日本政策金融公庫の企業概要書をベースに作成してもよいと思います。サンプル1とサンプル2を合算したような様式を独自に作成してもよいと思われます。
以下、サンプル1をもとに企業概要書 / 事業性評価シートの主な作成ポイントについて解説いたします。
自社のことですので書きやすい箇所ですが、“第三者が読む”ということを意識して、具体的かつ理解しやすいように書いてください。特徴は、他社との差別性、優位性などについて記載するようにしましょう。たとえば、知的財産権や他社にない技術力、独自のサービス提供ノウハウ、販売ルートなどです。
金融機関は全ての業界の動向を把握しているわけでありません。特にニッチな業界の場合は、企業側から情報提供をしてあげてください。自社の業界のことは、経営者が誰よりも知っているはずです。また業界団体の資料などで客観的な情報(市場規模、動向など)を収集することもできます。
SWOT分析とは、自社の強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) について分析するものです。経営者が一人で黙々と作成するのではなく、できれば従業員などのスタッフを交えてブレインストーミングをしながら作成することをお勧めいたします。顧問税理士や金融機関担当者に協力してもらってもよいでしょう。
なお、サンプル2については、日本政策金融公庫から記入例が公表されておりますので参考にしてください。
俯瞰図とは、企業の商流やビジネスモデルを現した資料です。まずはサンプルを見てください。
以下、俯瞰図の作成ポイントについて解説いたします。
まずは、大きなホワイドボードなどを使って自由に手書きをして、それをワードなどに清書する方法をお勧めいたします。いきなりワードやエクセルなどで作成するのではなく、ホワイトボードなどを利用してフリーハンドで書くようにしましょう。
基本的な構造については、決まった法則があるわけではありませんが、一般的には 仕入先・外注先 → 自社 → 販売先(お客様) → 消費者(最終ユーザー)というような基本的なパータンで作成することをお勧めします。これらの関係性について、矢印などを使って商流などを示します。また支店や関連会社、グループ会社なども記載する場合もあります。
まずは、ホワイトボードなどの中心に大きく自社と書いてください。その左右前後などに「仕入先・外注先」「販売先(お客様)」「消費者(最終ユーザー)」を書いてください。ひとまずは、左側に仕入れ先を位置付けて、右側に販売先を位置付けて書いてみることをお勧めいたします。
次にそれぞれの関係について、矢印などを使って商流が分かるように作成していきます。商流ばかりでなく、入金・支払のサイト、取引比率なども記載するとさらに分かりやすくなります。
ホワイトボードにフリーハンドで書いた俯瞰図は様々な情報を書き込んでいるので、雑然としていることでしょう。それをワードなどで見やすく整理・作成するようにしてください。
財務分析報告書とは、過去2~3期分の財務分析結果などについてまとめた資料ですが、雛形などはありません。よって、ここでは代用となり得る「ローカールベンチマーク」の作成方法について解説いたします。
出典:ローカルベンチマーク
ローカルベンチマークは、以下のような「財務分析シート」「財務分析」「商流・業務フロー」「4つの視点」の4つのエクセルシートから構成されています。「財務分析シート」「財務分析」が「財務分析報告書」に該当しますが、できれば「商流・業務フロー」「4つの視点」も作成しましょう。
以下、「財務分析シート」「財務分析」「商流・業務フロー」「4つの視点」のそれぞれの作成ポイントについて解説いたします。
この二つのシートは連動しています。「財務分析」に必要な数値を入れることによって、「財務分析シート」が自動的に作成される仕組みです。3期分の「決算書」を用意して、損益計算書や貸借対照表などから必要な数値をエクセルシートに入力するだけで、総合評価点(ランク)およびレーダチャートとして表示されます。財務の総合評価点などが点数として表示されますので、自社の財務を客観視することができます。
簡単に言うと、これもビジネスモデル俯瞰図の一つです。よって、ローカルベンチマークを作成すれば、俯瞰図にも対応できるという見方もできます。経済産業省は、金融機関の事業性評価の「入口」として活用されることを期待してローカルベンチマークを制作したという経緯もあります。
「①経営者」については「経営理念・ビジョン」や「後継者」など、「②事業」については「強み」や「弱み」など、「③企業を取り巻く環境・関係者」については「市場状況」や「競合他社」など、「④内部管理体制」については「組織体制」や「人材育成」などについて記述してください。
以上、ローカルベンチマークのそれぞれのワンポイントを解説しました。詳細は「ツール利用マニュアル」も参考にするようにして下さい。
その他、経済産業省のローカルベンチマークのホームページには、多くの情報、そして、作成方法についての動画(Youtube)なども案内されています。是非、参考にしてください。
株式会社MBSコンサルティング代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。
主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。
また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。
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