融資の種類と特徴(2) 日本政策金融公庫の提供する融資

2021/12/15

これから創業する方や小規模事業者などが最もお世話になっているのが、日本政策金融公庫だと思われます。しかしながら、日本政策金融公庫にはどのような融資の種類があり、どのような体系になっているのかは、ほとんどの事業者が知らないのではないでしょうか。
今回は、日本金融公庫の提供する融資の種類をご紹介し、主なものの特徴を解説していきますので、今後利用される際の参考にしてください。

  • なお、これらは2021年10月現在の情報になります。今後、変更されることもありますのでご理解ください。

日本政策金融公庫の窓口は大きく3つ。融資制度はそれぞれ異なります

日本政策金融公庫は「国民生活事業」「中小企業事業」「農林水産事業」の3つの窓口に分かれています。国民生活事業は「個人企業・小規模事業者」、中小企業事業は「中小企業者」、農林水産事業は「農林漁業者等」を対象としています。

それぞれの窓口に融資制度が用意されています。これから創業される方、個人事業主、小規模の中小企業などは「国民生活事業」の制度を活用することになります。

また特に明確な基準はありませんが、規模が大きくなると「中小企業事業」の制度を活用できるようになります。「農林水産事業者」はその名称通り、農林水産関連の事業者を対象とした窓口になります。

「国民生活事業」の融資制度の概要

小規模・中小事業者がよく利用する融資制度の概要は以下の通りです。国民生活事業だけでも全50種類以上の融資制度が用意されています。

国民生活事業の融資制度の概要

概要
一般貸付 事業を営むほとんどの業種が対象となっています。融資限度額は4,800万円。国民生活事業の基本となる制度。
セーフティネット貸付 売上減少、金融機関・取引先などの破綻・倒産などの影響を受けている事業者が対象。全3種の制度が用意されている。
新企業育成貸付 これから開業される方、再挑戦される方、事業転換、第二創業などを図る事業者を対象。新規開業資金など、全5種の制度が用意されている。
企業活力強化貸付 IT促進、雇用促進、ソーシャルビジネス進出、事業承継、働き方改革などを推進することにより企業の活力を強化する事業者を対象。全8種の制度が用意されている。
環境・エネルギー対策貸付 非化石エネルギー設備、省エネルギー設備、またはBCP(事業継続計画)に基づく施設などの整備をされる事業者を対象。2種の制度が用意されている。
企業再生貸付 中小企業再生支援協議会の関与もしくは民事再生法に基づく再生計画の認可などにより、企業の再建を図る事業者を対象。融資限度額は別枠にて7,200万円。
その他の融資制度 東日本大震災復興特別貸付、新型コロナウイルス感染症特別貸付などの災害関連の制度。またはマル経融資(小規模事業者経営改善資金)、資本性ローン、新創業融資制度、経営者保証免除特例制度などがある。全16種の制度が用意されている。
生活衛生貸付 生活衛生関係の事業者(飲食、理美容など)を対象とした融資制度。一般貸付など、全14種の融資制度が用意されている。
国の教育ローン 子供の教育資金を必要とする方を対象。融資限度額は350万円(一定の要件に該当する場合は上限450万円)。
恩給・共済年金担保融資 恩給、共済年金や厚生年金、災害補償年金などを受けている方を対象。融資限度額は250万円。

なお国民生活事業では、事業者向け融資ばかりではなく「国の教育ローン」も実施しています。既に事業資金として国民生活事業から借入を行っている事業者でも「教育ローン」の利用は可能です。必要なときには、国民生活事業の窓口の相談してみましょう。

基本となる「一般貸付」について理解しておこう

国民生活事業の基本となる「一般貸付」については、しっかりと理解しておきましょう。

一般貸付は、国民生活事業の入口となる基本的な制度であり、ほとんどの業種の中小企業の方が利用できます。しかしながら、業種(金融業など)や経営内容などによっては利用できない場合があります。これは他の融資制度でもほぼ同じです。

一般貸付

資金使途 運転資金 設備資金 特定設備資金
融資限度額 4,800万円 7,200万円
融資期間 5年以内(特に必要な場合7年以内)
〈うち据置期間1年以内〉
10年以内
〈うち据置期間2年以内〉
20年以内
〈うち据置期間2年以内〉
利率 基準利率新しいウィンドウで開く
ご返済期間または担保の有無によって異なる利率が適用されます。
担保・保証人 お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。
  • 業種(金融業など)や経営内容などによっては利用できない場合がある。

「中小企業事業」の融資制度

中小企業事業は国民生活事業を利用する事業者より、年商規模などが大きい中小企業者を対象とした窓口です。

融資限度額も約10倍前後になります。一例ですが、国民生活事業のセーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)の融資限度額は4,800万円ですが、中小企業事業は7億2,000万円となっています。

中小企業事業で扱っている融資制度は新企業育成貸付(5種類)、企業活力強化貸付(8種類)、環境・エネルギー対策貸付(2種類)、セーフティネット貸付(3種類)、企業再生貸付(2種類)、その他(12種類)など、30種類前後の制度が用意されています。

特徴的な制度としては「5年経過ごと金利見直し制度」「スタンドバイ・クレジット制度」(中小企業の海外現地法人等の現地流通通貨建て資金調達支援)などもあります。

「農林水産事業」の融資制度

農林水産事業は、農林漁業や食品産業向けの窓口になります。農林漁業は「天候などの影響を受けやすく収益が不安定」「投資回収に長期間を要する」といった特性があります。よって長期資金を供給しているのが特徴です。

ちなみに2020年実績の業種別実績は、農業資金5,197億円、林業資金264億円、漁業資金1,010億円、加工流通資金585億円となっています。

著者:吉田 学(財務・資金調達コンサルタント)

株式会社MBSコンサルティング代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。
主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。

また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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