協調融資とは?中小事業者が活用する際のメリット・デメリット
2023-06-26更新
2022/08/29
中小企業で不動産をうまく活用するには、さまざまな利用方法があります。ここでは、その中から遊休地を活用して収益不動産を建築した事例、自社ビルの建て替えの事例、不動産事業を新規事業とした事例の3つのケースを紹介します。
遊休地に建築計画を立てる前に、その遊休地の地目※1や用途地域※2を確認する必要があります。なぜなら、その地目や用途地域ごとに建てられる建物の大きさや種類が制限されているケースがあるためです。
例えば、以下のようなものがあります。
遊休地として所有している土地の地目や用途地域によって、選択できる活用方法が異なるということを知っておきましょう。
本業も順調なA社ですが、今のうちに別の収益源も確保したいと考えています。以前から、所有している遊休地の有効活用を検討していました。そこで今回、収益不動産を建築して賃料収入を得ようと決めたのです。
この遊休地の面積は小さいながら、駅から徒歩10分程度で商業地域内にあります。商業地ですので住宅地域よりも、建ぺい率や容積率の割合が高く建物の高さ制限も緩いため、高い建物(階数の多い建築物)が建てられることに着目しました。
どのような建物を建築するかを検討した結果、商業地なので1階を店舗として、2階から上の階を事務所として貸し出しすることにしました。店舗や事務所は居住用より高い家賃が設定できそうな点もメリットです。
実際に取引金融機関に相談をし、以下のような流れで融資を受けることができました。
ここで注意したいのは、金融機関では投資する収益不動産の事業だけではなく、決算書で既存事業の状況を含めて審査した点です。
いかに投資事業計画が妥当で担保評価が十分であったとしても、決算書が債務超過であったり返済源がないと判断されたりすると、融資が受けられない可能性もあるということを理解しておきましょう。
B社は、老朽化した自社ビルを所有しています。
その自社ビルは先代の社長が建設したもので、既にその融資は完済しているのですが、老朽化が進んでいます。建て替え後の自社ビルは1・2階部分を事務所とし、独身社員も多いため3階以上を社宅および居住用として賃貸とする計画を立て、取引金融機関に相談しました。
その後の基本的な流れは、A社と同様です。注意点は、建て替えであるため既存ビルの解体費用、建築中に必要な仮事務所の手配や賃料負担、移転費用の検討が必要なことです。
さらに収入面では何室の社宅を利用し、いくらの賃料設定(福利厚生であるため、相場家賃より低めの設定)とするかも追加で検討する必要があります。
実際に自社ビル建て替えでは、天候などにより想定よりも工事時間がかかるケースもありますので、スケジュールにも注意が必要でした。
C社は、輸送用の海上コンテナを販売している企業で、もともとの主たる取引先は海運会社や輸送会社でした。
近年、コンテナを用いた建物づくりに注目が集まり、コンテナハウスやコンテナ店舗の利用目的で多くの問い合わせを受けるようになりました。コンテナはモジュール化されているため、複数のコンテナを積み重ねたり並べたりすることが可能で、大きさや形などそれぞれの規模や目的に合わせた家や店舗を作ることができることもその要因でしょう。
コンテナは鋼鉄からなることがほとんどで、強度・耐久性に優れ、また安価であることから、簡単に住宅の躯体としての役割を果たしてくれます。また、コンテナには最初から床・壁・屋根部分があることから、短い工期実現や低価格での改装も可能で、異なる場所への移設もトレーラーなどで比較的簡単に行えるため、緊急災害時などの活用可能性も見込めます。
以上のような状況で、C社は自社の商品であるコンテナを利用して、新しい事業を検討しました。C社には大きな自己資金はなく、しかも不動産を所有していないため、不動産担保提供ができません。
検討の結果、少ない投資資金でコンテナを活用するために、コンテナのバイク倉庫業というアイデアにたどり着きました。1つの大きなコンテナに鉄板で仕切りを作り、それぞれドアを設置し、バイクをスムーズに出し入れできるようスロープを設置したのです。
そして、駅近くでの店舗や駐車場の極小だったり地形が悪かったりという理由で、利用しにくい空きスペースの土地にコンテナを1~2台でも設置させてもらい、格安に賃貸することにしました。
この発想は、もともとバイク好きで高級バイクを所有していたC社の経営者とそのバイク仲間の間で「バイクは普通に駐車しておくと、盗まれたりいたずらをされたりなどの被害に遭いやすい」とが話題になっていたことにヒントを得ました。高級バイクであればなおそのリスクは高くなり、コンテナのバイク倉庫には需要があると考えたのです。
C社では、コンテナを以前から仕入れていましたから、大きなコストをかけずに新規事業がスタートすることができました。
また、極小地などの建物建設が難しい土地を選んで交渉しましたので、敷金・賃料も抑えられ、結果として自己資金の範囲でスタートできたのです。
アイデア次第で、C社のバイク倉庫業のように新規事業での不動産事業を始めることも可能となります。C社では今後、事業が拡大したら、金融機関にコンテナ仕入れ費用、駐車場確保費用、またフランチャイズ化に向けた費用ついて相談していくことを検討しています。
株式会社アスタリスク代表取締役。金融機関、コンサルタント企業、IT企業を経て、2000年代表取締役就任。IT企業、不動産業、商社等の経営戦略、財務戦略、管理会計支援等
を行う。
これまで、銀行等の金融機関の研修・講演講師を70行庫以上務める。主な著書は「渉外マンの現場力/近代セールス社」金融商品取引法・各種業法に基づく「金融商品セールス対応話法集/銀行研修社」等でありその他金融機関向け、雑誌連載実績等多数。
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