日本政策金融公庫の金利は高い? 融資を受ける際の金利を解説
2023-10-05更新
~リスケジュールの進め方と注意点~
2021/01/29(2021/9/15更新)
ここでは、リスケジュールのメリット・デメリット、判断基準、進め方や金融機関への交渉ポイントなどについて解説いたします。リスケジュールを行うと、返済が猶予されますので事業者の資金繰りが改善されますが、同時にデメリットやリスクなどがあります。リスケジュールを行うかは、安易に判断せず、十分に検討するようにしてください。
リスケジュール(リスケ、貸付条件の変更)とは、融資の返済条件を変更することをいいます。具体的には、毎月の返済額の変更や返済期日の変更、利率の変更などのことを意味します。
リスケジュールの最大のメリットは、「資金繰りが楽になる」ということです。つまりキャッシュフローが安定して資金繰りが安定します。毎月100万円の元金返済をしている事業者でしたら、1年間の元金棚上げのリスケジュールをすることによって、100万円×12か月=1,200万円の借入金返済をしなくてすみます。つまり、1,200万円の資金調達をしたのと同じ効果がある、という見方もできます。
次にデメリットですが、原則として、「新規の借入ができなくなる」ということです。リスケジュールを安易に判断してはいけないという理由はここにあります。既往債務の返済ができないのですから、リスケジュールしている金融機関が新規の融資をしてくれるわけがありません。
なお、金融庁は「貸付条件の変更等の履歴があることのみを理由に新規融資を拒絶することないよう、金融機関に対して検査・監督で検証していく」という基本姿勢ですが、最終的な判断をするのは金融機関です。やはり、リスケジュールをしていると原則として新規融資を受けるのは困難である、と認識するべきです。
よって、リスケジュールを行う場合は、原則として「新規の借入はもうできない。借入せずに事業を継続することができるのか?」などについて検討する必要があります。
リスケジュールをするべきか?するべきでないか?の基準については以下の通りです。しかしながら、これは一例であって、専門家によって様々な考え方や視点がありますのでご了承ください。
〈例〉リスケジュールするべきかどうかの判断基準
これらの項目に一つでも当てはまるのであれば、一度、速やかに専門家にご相談することをお勧めします。実際のところ、多くの事業者が「まだ大丈夫だ。何とか資金調達できる」と判断して、ギリギリのところで専門家に相談するパターンが多いのです。たとえば「一週間後の月末の借入金の返済や支払いができない」というようなケースもあります。最悪の場合は、闇金などに手を出している事業者も少なからずいらっしゃいます。早く相談すればするほど、専門家も多くの手を打つことができます。
また、「資金繰り、借入金返済の悩みさえなければ事業に集中できる。再生させる自信がある。確実に売上高・利益を改善してみせる!」という強い思いや確信が必要です。本業そのものの再生に自信がない、というようでしたら、リスケジュールをしても根本的な解決にはならないかもしれません。そういう状況の事業者においては、弁護士に相談するのも一つの選択肢です。
一般的なリスケジュールの進め方は、以下の通りです。
先ずは、メインバンクに「リスケをお願いいたします」と申し出てください。コロナ禍が収束していない状況においては、素直に申し出てもよいと思われます。原則として、リスケジュールをすることになった原因・理由などは、企業・経営者側にあることが多いので(コロナ禍の影響を除く)、素直にこのような状況になったことをお詫びする姿勢を忘れないようにして下さい。
その後、メインバンクが審査をして承諾してくれたら、次はサブバンクに交渉します。「メインバンクが、こういう条件でリスケジュールを受けてくださったので、同一条件で何卒ご協力をお願いいたします」と依頼するのです。メインバンクが承諾をしていれば、サブバンクも承諾してくれることが多いです。
現在、コロナ禍においては、「リスケジュールとは?基本的な考え方」 にて説明した通り、リスケジュールの実行率は、99%以上の実績となっています。つまり、ほとんどの申請した事業者は、何かしらの貸付条件の変更等の承諾を受けることができているのです。
よって、「コロナ禍においては交渉など必要ないのでは?」と思われるかもしれませんが、新型コロナ感染症を何とかを乗り切っても、その何年後、何十年後に、業績悪化により、リスケジュールをせざるを得ない状況がやってくるかもしれません。是非、リスケジュールの交渉ポイントについて理解しておいてください。
〈原則論〉リスケジュールの交渉ポイント
既に説明しましたが、先ずはお詫びの気持ちをもって、メインバンクに交渉します。昔と違って、現在はとても穏便に進捗することが多いです。相談、交渉する際には、一枚ものの「条件変更依頼書」なる文書を作成して申し出るようにしてください。
本来は、詳細な経営改善計画書など多くの資料を作成して金融機関を説得することがセオリーなのです。よって、たとえコロナ禍においても、速やかに経営改善計画書などの資料を作成して提出するようにお勧めします。
もし、万が一、リスケジュールを断られた場合はどうすればよいでしょうか。その時は強い意志をもって粘り強く交渉することです。また、ケースによっては、従業員の給与カットやリストラ、その他経費カット、そして自らの給与の大幅カットなどの覚悟も必要になるでしょう。強い意志が必要です。
現在のコロナ禍においては、99%の条件変更実行率ですから、金融機関に申し出をすれば、リスケジュールを承諾してくれるケースがほとんどなのかもしれません。よって、専門家の支援なしで、自力でリスケジュールの相談、交渉を行うことは可能だといえるでしょう。
しかしながら、できれば前述の〈リスケジュールするべきかどうかの判断基準〉を参考に、不安要素があれば、先ずは顧問税理士に相談してみてください。税理士によっては、この分野の知識を有している方もいます。また、適切な事業再生の専門家を紹介してくれるかもしれません。
事業者にとって最も判断が難しいことは、リスケジュールのタイミングなのかもしれません。この点については、専門家の意見を聞くことをお勧めします。また、繰り返しになりますが、リスケジュールを行うと、原則として「新規借入」ができなくなります。よって、その後の改善計画や事業展開などについて、専門家の意見を聞くことをお勧めします。
株式会社MBSコンサルティング代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。
主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。
また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。
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