資金調達とは?
2022-08-03更新
2023/08/23
中小企業では資金調達手続きの負担軽減を理由に、代表者個人が資金手当を行っている状況があります。これまで日本では経営者保証をつける融資慣行が長く続いてきましたが、経営者保証を解除する動きが進むに伴い、事業者はより一層の経営の透明化を金融機関から求められるようになると考えられています。
この記事では、会社のお金と経営者個人のお金を混同しないこと、法人と個人の分離について解説します。
中小企業のなかには資金調達手続きの負担軽減を理由に、「役員借入金」として代表者自身が資金手当を行っている状況があります。法人として融資を受けるには書類準備や面談時間の確保が必要となるため、その手間を省きたい。あるいは、手間をかけて融資を受けるほどの額ではないため代表者自身のポケットマネーで補填する。または、個人借入の方が利便性高くスピード感のある借入ができるという理由から、代表者が個人として借入し資金手当をする。「役員借入金」には事業に専念したい中小企業の実情が表れている場合があるようです。
経済産業省、金融庁、財務省が2022年12月下旬、「経営者保証改革プログラム」を発表し、高度経済成長期に確立された経営者保証をつける融資慣行が約50年ぶりに見直されることになりました。経営者保証がついた中小企業向け融資は2020年度において全体の8割程度(令和2年度「経営者保証に関するガイドライン」より)。保証つき融資は、会社が潰れると会社と別人格の経営者個人の生活まで破壊されてしまう懸念があり、思い切った事業転換や挑戦の妨げ、起業をためらう原因や事業承継を拒む一因となっていると問題視されていました。この改革プログラムにより、経営者個人が会社の連帯保証人になる「経営者保証」を解除する動きが進むことが期待されています。また、経営者保証を解除する動きは、金融機関による融資先の事業内容や成長性を評価する目利き力を改めて問うこととなります。金融機関は事業者に対して経営の透明化を促すような働きかけが広がっていくと考えられ、事業者には法人と個人の分離がより一層求められることとなります。
なお、経営者保証については『経営者保証ガイドラインの活用』で詳しく説明していますので、参考にしてください。
経営者保証解除は融資を行う金融機関への影響のみならず、融資を受ける中小企業に対しても、事業内容や財務状況を正確に開示するといった経営の透明化を求めるものとなります。透明化の実現には会社のお金と経営者個人のお金を混同しないといった財務管理の徹底も必要となります。長く経営を続けているなかで区別のあいまいさが表面化していない中小企業や、法人化していながらも事業上の利益がすべて個人の所得として計算され「事業主貸」として生活費を支出する個人事業主としての管理が継続している企業などは注意が必要でしょう。
法人と個人を分離するために、手続き負担軽減を目的とした代表者個人の借入は、法人としての借入・資金繰りに切り替えていくことが大切です。個人借入として代表的なカードローンやクレジットカードのキャッシングなどは、総量規制により年収の3分の1を超える借入はできません。総量規制は法律で定められた貸金業者から借りられるお金の総額上限の規制ですが、貸金業者に限らず各銀行もそれぞれ総量規制と同じような自主的な規制ラインを設けており、消費性の融資を受けられる額が決まっています。個人として借入をする場合には借りられる額に上限があり、枠を残すという考え方があることを理解しておきましょう。なによりも、法人借入の中にも、個人借入のように手続き負担の少ない借入手法がありますので、様々な情報を確認いただくと良いでしょう。
事業に専念したい中小企業にとって、新たな資料作成や面談が不要で融資実行までが数日と短い会計データ融資は、選択肢の1つとなるでしょう。会計データ融資とは、オンライン上で手続きが完結するオンライン融資のなかでも、会計データを活用して審査を行う融資サービスのことをいいます。従来の事業性融資では決算書の提出や面談でのヒアリングが一般的となりそれなりの時間を要するものでしたが、会計データ融資は日々入力している会計データを、オンラインから提出するだけと手間が少ないものです。会計データは事業内容や成長性、財務状況を詳細に伝えることができるため、会計データ融資は経営者保証や担保のない商品として金融機関から提供されています。経営の透明化として企業のお金と代表者個人のお金の分離を進めるためにも、会計データの上手な活用をご検討ください。
なお、資金調達ナビの『資金調達手段を検索』から各種資金調達手段を検索いただけます。会計データ融資は「弥生製品データ利用」を詳細条件に追加し絞り込みください。
弥生株式会社の子会社。2017年より与信モデル・融資支援サービス(LaaS)の開発・提供サポート事業を展開。事業者の事業活動全体が時系列で連続的に記録されている会計データの特徴を活かし、事業者が日々入力している会計データを用いて申し込みできる融資サービスの普及により、中小企業事業者が本業に専念できる環境の実現を目指す。
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