日本政策金融公庫の金利は高い? 融資を受ける際の金利を解説
2023-10-05更新
2022/04/19
中小企業の経営者にとって商工会議所と商工会は比較的、馴染みがあり活用しやすいものです。商工会議所と商工会では中小企業の支援を行っており、これを上手に活用することも1つの選択肢です。ここでは、商工会議所と商工会の中小企業支援について説明していきます。
商工会議所は、組織的には「日本商工会議所」と「全国各地の商工会議所」があります。商工会議所は会員による会費で支えられています。会員になる資格は、その各地の商工会議所のエリア内で事業を営む法人、団体、個人事業主です。会費は年会費で、その金額は資本金や従業員数によって異なります。
会員企業の構成を見ると、全体の約9割が中小企業で占められています。業種別で見ると、卸売業・小売業やサービス業が減少傾向にある一方で、少子高齢化に伴う福祉需要の高まりなどにより「教育・学習支援業」「医療・福祉業」の割合が高まっています。
商工会議所の主なミッションは地域の諸問題を解決するため、地域経済社会の代弁者として政策提言・要望活動などを積極的に展開し、その実現を図ることです。商工会議所は営利を目的とした組織ではなく、半官半民の組織と言えます。
また商工会議所は、地元企業の支援を行うことで地域経済を活性化していくことを目的としているため、地元の中小企業との繋がりが強い組織と言えます。
会員制の組織ですので会員に対してサービスを提供しますが、会員でなくても、無料経営相談のような一部のサービスは受けられる場合がありますので、お近くの商工会議所に問い合わせてみるのも良いでしょう。
以下に主な商工会議所の中小企業支援を挙げます。
経営支援 |
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創業・経営革新の推進 |
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金融支援 |
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事業承継 |
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インターンシップ・人材育成事業 |
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グローバルな経済活動支援 |
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福利厚生の充実 |
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支援の内容は、中小企業庁などの他の組織と似ていますが、商工会議所に配置された経営指導員が窓口相談・巡回指導を実施したり、より地域それぞれの特性に合った支援をしたりするという点で異なります。
特に中小企業にとって利用しやすい商工会議所の支援策をご紹介します。
商工会議所の金融支援の代表が「マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)」です。事業を継続していくうえで、運転資金や設備資金など資金繰りの問題が生じた場合に、商工会議所の継続した会員事業者であれば、日本政策金融公庫のマル経融資を利用することができます。
これは無担保無保証の融資で、比較的小規模な企業向けのものです。日本政府金融公庫が融資を行い、商工会議所はその代理店窓口のイメージです。
その申し込み資格は、以下の通りです。
この制度は商工会議所の会員事業者限定であり、商工会議所内部のマル経審査会で審査が通れば借りやすくなります。融資金額の上限はそれほど大きくはないのですが、資金繰りの悩みを解決するための選択肢の1つに入れておくと良いでしょう。
会社員が独立するなどで創業をする場合、商工会議所の創業支援を受けると、その相談に乗ってくれます。将来的に自身で事業を始めたい方などは、むやみに開業するのではなく、まずは商工会議所に相談するのも良いでしょう。
創業支援では税務や労務など開業時に必要な手続き、許認可、開業資金や収支計画など、事業を始めるうえでの必要事項を教えてくれます。また創業計画書の作成支援を受けたり、開催されるセミナーなどで情報収集したりすることも可能です。
商工会議所によっては行政や他団体と連携し、商工会議所にワンストップ窓口を設置しています。窓口を一本化することで創業希望者の利便性を向上させ、創業後も経営サポートをしてくれます。
商工会議所で創業計画の作成支援を受け、これを金融機関に提出することで、創業資金を借りやすくなる可能性も高くなるでしょう。
商工会議所には青年部や女性会などの部会があり、多種多様な業種の経営者が集まり、経営の勉強会や交流会などが開催されます。その組織に所属することにより、他業種の経営者とつながりを持つことや、商売にも活かすことができます。
新規取引先の開拓や、マーケティングに活用できるような業界関係の商談会を開催するなど、さまざまイベントもありますので活用すると良いでしょう。
また商工会議所には、ザ・ビジネスモール という商取引支援サイトがあり、インターネット上でマッチングサービスを提供しています。
事業運営には、IT活用や税務・労務管理などのさまざまな課題があります。このような課題を商工会議所の職員に相談することもできますが、専門的な相談を専門家にすることもできます。
税理士や中小企業診断士、社会保険労務士などの専門家のアドバイスを、回数は制限されますが無料で受けることができます。
商工会議所には国や都道府県、市町村、日本商工会議所、各支援機関などから、経営に必要な支援制度の情報が集まってきます。セミナー開催、雇用促進事業、福利厚生、M&A(事業継続化支援)など、その時々の中小企業に役立つ支援策について、商工会議所のホームページを通じて情報収集することができます。
商工会議所によっては「メールマガジンでのプッシュ型の情報提供」を行っており、福利厚生サービスの情報など、中小企業独自で収集するには難しい情報の提供もあります。
商工会議所主催のセミナーが開催されることもあり、それぞれの専門家が講師を務め、教えてくれるので活用したいところです。「資金繰り改善セミナー」「銀行との上手な付き合い方」などのセミナーは長期にわたって人気があり、資金繰りや資金調達に役立ちます。
一部の商工会議所には、事業承継・M&A支援があります。後継者未定または不在の中小企業・小規模事業者に対して、情報提供やマッチングの支援をしてくれます。「産業競争力強化法」に基づき経済産業省関東経済産業局から委託を受けて、商工会議所が実施しています。
商工会とは、地域の事業者が会員となって地域発展を目指すための団体です。商工会議所と同じように法律によって設立された「特別認可法人」で、日本全国には、約500団体の商工会議所と商工会が会員事業所の経営支援を目的に共同で運営していますが、
商工会は、商工会議所の会員よりもっと規模が小さい中小企業や個人事業主が中心であり、それに伴い、取り組んでいる支援事業も各地域の規模に合わせた内容になっています。
その支援事業は、主に「経営相談・支援」「税務相談・経理指導」「金融相談・斡旋」「取引、販路開拓支援」「労務相談」「専門家派遣」などです。
「金融相談・斡旋」では商工会議所同様、日本政策金融公庫が無担保・無保証・低利で融資する「マル経資金融資」や「創業支援」もあります。
特徴的な点は、それぞれの地域の特産品をPRしたりコンテストを催したり、全国の中小企業の地域特産品を扱うアンテナショップ(むらからまちから館 )で紹介したりするというように、地元の小さい1企業では、なかなか難しい全国展開の支援事業などにも取り組んでいます。
商工会は、地元の小規模な企業や個人事業主に寄り添った支援をしていますので、どのような支援があるか、地元の商工会に確認すると良いでしょう。
株式会社アスタリスク代表取締役。金融機関、コンサルタント企業、IT企業を経て、2000年代表取締役就任。IT企業、不動産業、商社等の経営戦略、財務戦略、管理会計支援等
を行う。
これまで、銀行等の金融機関の研修・講演講師を70行庫以上務める。主な著書は「渉外マンの現場力/近代セールス社」金融商品取引法・各種業法に基づく「金融商品セールス対応話法集/銀行研修社」等でありその他金融機関向け、雑誌連載実績等多数。
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