補助金・助成金の申請から受給までの流れ

2019/11/19

補助金・助成金探すことから受給するまでの大まかな流れを紹介します。種類により、ステップが追加されたり、無かったりすることがあります。

ステップ1 補助金・助成金を探す

自社の状況に合った補助金・助成金を探すことが最初のステップです。今はインターネットでの情報収集が一般的でしょう。
経済産業省、中小企業庁や厚生労働省、各地方公共団体や民間の財団法人など補助金・補助金・助成金事業を実施している機関のホームページで補助金・助成金に関する情報を入手できます。専門家に話を聞くのも良いでしょう。
最適な補助金・助成金が見つかったら、まずは各機関が実施する説明会に参加しましょう。
その補助金・助成金の目的や評価のポイントなどを説明してくれますので、制度の内容を理解するにはよい機会です。これらの作業は、決まった担当者が行うのがよいでしょう。

ステップ2 申請する

「申請する」と言っても、申請書を作成するだけではありません。ここでは申請のステップをさらに細分して紹介します。

2-1 必要書類、ID取得など事前の準備

申請書の内容とは関係のない決算書類や登記簿謄本等、必要な書類は先に揃えておきます。
申請書作成は期限までならいつでも可能ですが、提出先となる役所等の窓口は開設時間が決まっているからです。
補助金・助成金制度によっては、事前に「認定支援機関」等の各支援機関と連携したり、「経営革新計画」等の承認を受けておく必要がある場合もあります。
電子申請の場合は、事前にIDを取得しておく必要があります。それらの準備が整った上で、申請書を作成するほうが効率的です。

2-2 公募要項をよく読む

公募要領とか募集要項など補助金・助成金の制度概要を説明した書類のことですが、まずはそれをよく読みましょう。
お役所言葉に慣れていない方でも、公募要領を3度も読めば、制度をつくった側の「意図」が見えてくるものです。

2-3 事業計画を作っておく

いきなり申請書を作成し始めても、内容に一貫性を持たせるのは難しいもの。できれば、事前に事業コンセプト、マーケティング戦略、利益計画、資金計画が組み込まれた独自の事業計画書をつくっておくと良いでしょう。その内容を申請書の書式に合わせればよいので、比較的、簡単に申請書を作成することができます。

2-4 申請書の作成

事前準備ができたら、いよいよ申請書の作成に取り掛かります。
申請書は、読みやすさ、わかりやすさを心掛けて作成します。
たとえば、記載欄の質問には字数制限を守ってきちんと答える、専門用語には注釈をつけるのも基本です。
また、符号体系を統一することで、話の一貫性を保つことができます。
文字のフォントで変化をつけるのも良いですし、図表やグラフなどは、ビジュアルにも気を配ります。
統計を利用すると客観性が高まり、説得力が増します。

2-5 最終チェック

申請書が作成出来たら、最終チェックを行います。
誤字脱字、計算間違いは当然のこと、専門用語が多すぎないかなど、わかりやすいかどうかもチェックします。
自分だけでチェックするのではなく、専門家など第三者の目で見てもらうのも有効です。
申請書、添付書類を必要部数揃えたら、いよいよ申請です。

ステップ3 審査を受ける

補助金・助成金は、おおむね資格審査、書類審査、面接審査を経て採択されるという流れを経ます。
資格審査では、助成対象者として適合しているかどうかをチェックされます。
書類審査では、審査委員がそれぞれの制度の採点基準に基づき申請内容を審査します。新規性、独自性、収益性、実現可能性に加え、近年では社会貢献性などが採点基準に取り入れられていることもあります。
資格審査、書類審査に通過した後、面接審査に臨みます。ぶっつけ本番ではなく、何度か面接の練習をし、時間内にきちんとアピールできるようにしましょう。

ステップ4 採択・交付決定、事業実施

審査を通過すると、補助金・助成金が交付される権利を得られます。その後の事務手続き等の説明会を経て補助金や助成金の対象期間に入ってはじめて、事業を実施できます。
それまでは、申請事業に着手することはできません。
申請事業の実施期間中は、通常の事業とは別に経理処理を行います。
計画の変更・中止等は、事務局に相談・報告しなければなりません。
また、事業を実施していると、計画段階より費用が増減する場合がありますが、大幅に増加した場合などは、補助金や助成金の対象とみなされなくなる可能性もありますので、事業の実施計画、特に費用の見積もりには確度が求められます。

ステップ5 実施報告、補助金・助成金受給

事業完了後は、実施した事業の内容やかかった経費につき報告書を作成します。
(事業実施中にも中間報告を求められることはあります)
事業がきちんと実施されたことが確認されると、補助金・助成金の受給金額が確定し、晴れて指定口座に補助金・助成金が入金されます。
助成事業の関係書類は5年間の保存義務がありますので、しっかりと保存しておきましょう。

著者:那須 藤生(中小企業診断士・一級販売士)

総合商社等で中国・アジアビジネス担当、現地法人設立、海外新規事業推進に携わる。1999年有限会社ピー・エムスリーを設立、代表取締役に就任後、補助金・助成金、公的融資等資金調達支援、組織・人材関連、医療福祉介護、流通業・飲食業関連コンサルティングの他、累計1000人以上の起業・創業を支援。東京都中小企業振興公社専門相談員、川崎市経済局金融課創業支援融資診断員、ダイヤモンド社公認インストラクター、金融財政事情研究会講師などとして活動。

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