エクイティファイナンスとは?
2023-06-22更新
2022/03/08
ここでは、第三者割当増資において重要となる事業計画書について詳しく解説していきます。
第三者割当増資において、事業計画書は重要なものです。出資を集め、何に投資し、どのような成果・利益をあげていくかが明確でなければ、通常、なかなか第三者割当増資に応じてもらえないからです。
第三者割当増資の場合、事業計画書は中期(3~5年)の事業計画書が一般的です。
事業計画書は事業の魅力や他社との差別化ポイント、将来的な成長性などについて、財務数値も含めて説明し、これから出資しても良いと考える投資家に対して理解を得られるものである必要があります。
第三者割当増資は出資ですので、資金の返還が保証されていないリスクを伴う投資です。投資家の目的は、その立場により違います。例えば取引先などが、より良い取引条件で事業を行うために出資するケースもあるでしょう。また今後の成長性を見込んで、ハイリスクでもハイリターンを期待して出資する投資家もいるでしょう。
今後の中期的な計画の根拠やシナリオを、投資家に示すものが事業計画書となります。投資家の目線で「信頼のおける経営者が事業を行っていること」に始まり、「その事業が高い成長性を有していると見込まれる」「その事業の実現可能性も高い」などのことが事業計画書で感じられなければならないでしょう。
事業計画書の書式や形式には、こうしなければいけないというものはありません。しかし、事業計画書を作成するうえでの基本的な項目がありますので、これらの項目を盛り込む必要があります。具体的には、以下の通りとなります。
この中で、特に第三者割当増資においてポイントとなる箇所についてご説明します。
市場規模については「その事業(既存の事業でも、新規事業でも)の市場があるのか」「今後、市場が形成されるのか」という点を事業計画書に盛り込みます。さらには「その市場は、ライバルが多いような寡占市場なのか」「どの程度、有望な市場なのか」の根拠を数字での分析をもって示すことができると良いでしょう。
なぜなら投資家が出資するかどうかの判断をする場合、まず「市場があるのかどうか」という視点で見ているからです。
事業計画書では、投資家に「自社のサービスや商品の強みや特徴、ライバルとの差別化」を明確に説明し、納得してもらわなければなりません。
現在はあらゆる業界・製品・商品・サービスに対し、ライバルが存在すると考えられます。このため差別化を図るためには具体的であることが重要です。
中小零細企業では、経営資源(ヒト・モノ・カネ)は限られていますので「弱みをカバーする」ことよりも「強みをより拡張させる」ことを優先する方が良いでしょう。
どんなに良い製品・商品・サービスでも、売れなければ話になりません。具体的に「どう売っていくのか」「現在、どのくらい売れる見込があるのか」「売れる見込みの確度や数量、額はどうか」などです。
また販売やマーケティング戦略においては、PRなども含めた広告宣伝も必要になります。中小零細企業では、この広告宣伝が一番苦労する点といえます。販売パートナーなどとの連携も含め、具体的に計画しましょう。
第三者割当増資では、取引先が引受人になることが多いため、「生産方法、仕入先、パートナーなど」を明確に記すと良いでしょう。
例えば、仕入先に第三者割当増資を打診する予定あれば、今後仕入拡大を明記することを事業計画書に明記することで、その仕入先は取引拡大の可能性があることが分かり、前向きに引き受けを検討してくれる可能性があるでしょう。
事業計画書では、現状の事業課題やその優先順位を整理し、改善施策を具体的に示します。改善するための組織(どの部署で何人の増員をするかなど)も重要になりますので、具体的に事業計画書に盛り込むと良いでしょう。
事業計画書では、目指す目標を具体的に予算計画として示す必要があります。最低でも売上・利益などの目標を予算損益計算書(PL)に計上します。合わせてその売上を実現するためのコストや固定資産の購入などを考慮し、資金計画を作成します。資金計画は、今回の第三者割当増資の出資を含めて作成します。
いずれにしても第三者割当増資を行うためには、投資家に信頼される、実現性の高いであろう計画書にしなければなりません。
事業計画策定には、具体的な数字で事業計画書を作成するなど、専門知識が必要となります。専門家への相談が必要な場合には、顧問税理士や「専門家に相談」の活用をご検討ください。
株式会社アスタリスク代表取締役。金融機関、コンサルタント企業、IT企業を経て、2000年代表取締役就任。IT企業、不動産業、商社等の経営戦略、財務戦略、管理会計支援等
を行う。
これまで、銀行等の金融機関の研修・講演講師を70行庫以上務める。主な著書は「渉外マンの現場力/近代セールス社」金融商品取引法・各種業法に基づく「金融商品セールス対応話法集/銀行研修社」等でありその他金融機関向け、雑誌連載実績等多数。
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