資金調達とは?
2022-08-03更新
2022/04/19
中小企業を支援してくれる中小企業庁の存在をご存じの方は多いと思いますが、具体的にどのようなことをしてくれる役所なのかを理解していない、その結果、活用ができていないということが多いのではないでしょうか。
中小企業庁には、さまざまな支援策があります。ここではその種類や、どのような企業が支援策を受けることができるのかなどを説明していきます。
名前の通り、中小企業庁は中小企業を支援してくれるものですが、その支援策の要件などを具体的にみていくと「中小企業」「小規模企業者」という言葉が出てきます。
「中小企業」と「小規模企業者」のどちらに該当するかで「その支援策が受けられるか」「受けられるための条件は何か」が異なりますので、ここではまずは正確に定義を確認しておきましょう。
中小企業者と小規模企業者の定義は業種によって異なります。具体的にどのような企業があてはまるかは、以下の表のとおりになります。
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
---|---|
製造業・その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5,000万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5,000万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
---|---|
製造業・その他 | 従業員20人以下 |
商業(卸売業・小売業)・サービス業 | 従業員5人以下 |
中小企業庁の支援策を分類すると、主に以下のような内容になります。
この分類からニーズに適した融資や補助金、相談、セミナー、イベントなどを問い合わせ、利用することができます。
経営サポート | 技術力の強化、創業・ベンチャー支援、経営革新支援、新たな事業活動支援、知的財産支援、再生支援、雇用人材支援、海外展開支援、小規模企業支援など |
---|---|
金融サポート | 融資制度、保証制度、補助金・助成金など |
財務サポート | 税制、会計、事業承継など |
商業・地域・分野別サポート | 商業・流通支援、建設業、農林水産業、食品、生活衛生業など分野別のサポート |
相談・情報提供・相談窓口 | 相談窓口など |
上記の中小企業庁の支援策の分類と合わせて、その関係団体と役割も押さえておくと、より効率的に支援策を探すことが可能です。ここでは、主な関係団体とその役割を挙げます。
名称 | URL | 役割 |
---|---|---|
J-Net21 | https://j-net21.smrj.go.jp/ |
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中小機構 | https://www.smrj.go.jp/ |
|
ミラサポplus | https://mirasapo-plus.go.jp/ |
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jGrants | https://www.jgrants-portal.go.jp/ |
|
いずれも、中小企業庁や地方自治体とも連携しており、その目的に合わせて内容の確認をすると良いでしょう。
経営者が主に活用したい支援策としては「融資制度、保証制度」と「補助金・助成金」ではないでしょうか。ここでは融資制度、保証制度について説明します。補助金・助成金については「補助金・助成金の基本」をご覧ください。
中小企業庁の「金融サポート」は、中小企業に対し政府系金融機関による融資や信用保証協会による保証などを、金融面で支援するものです。
例えば、その時代によって大きなできごとがあった場合、景気全体が落ち込んだり特定業種の業績が落ち込んだりしますが、その場合には「セーフティネット保証」などを通じ、日本政府金融公庫などの政府系金融機関や信用保証協会の融資情報が取得できます。
融資を受けたい場合、自社の規模においてどの融資を申し込めるかが変わってきます。自社が「小規模企業者」の場合、中小企業にはない支援を受けることができる場合もあります。
ただし直接、中小企業庁で融資の申し込みはできないことに注意してください。融資を受けるには、各金融機関などに問い合わせをして申し込むことになります。
中小企業庁の金融サポートは「経営サポート」での支援策と絡めることで、政府系金融機関などの通常融資とは別枠で融資を獲得できる場合があります。仮に通常枠で8,000万円の無担保の通常枠がある場合、別枠で8,000万円の無担保の枠がついて合計1億6,000万円の融資(2倍の枠)が利用できるというイメージです。
この別枠を獲得するには「経営革新に取り組み、新たに事業構築する」「経営力を向上化させ効率的な経営に乗り出す」などの場合に支援策を申請し、承認を受ける必要があります。
特に成長している企業や、革新的に新たなことに挑戦している企業にとってはメリットがあります。
上記の中小企業庁の各支援策の申請時には、概ね3~5年の中期の予算計画を策定することとなります。普通、中小企業ではあまり中期的な計画を作成していないことが多いのではないでしょうか。
各種支援策への申請をすることで、一度、立ち返って中期的に事業を考える機会になりますし、また上記の通りの融資の別枠を獲得するチャンスともなりますので、チャレンジをしてみてはいかがでしょうか。
各種支援策の申請をする際に予算計画を行うことで「今後、計画通りの経営が実現できた場合、どの時点で資金が不足するのか」「その資金の調達をどうするのか」「どのような資金返済計画とするのか」など、自社の資金調達についても同時に検討する機会になります。
株式会社アスタリスク代表取締役。金融機関、コンサルタント企業、IT企業を経て、2000年代表取締役就任。IT企業、不動産業、商社等の経営戦略、財務戦略、管理会計支援等
を行う。
これまで、銀行等の金融機関の研修・講演講師を70行庫以上務める。主な著書は「渉外マンの現場力/近代セールス社」金融商品取引法・各種業法に基づく「金融商品セールス対応話法集/銀行研修社」等でありその他金融機関向け、雑誌連載実績等多数。
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