日本政策金融公庫の融資申込手続きの流れ

2022/03/23

多くの事業者が利用している日本政策金融公庫ですが、意外とその申請手続きの流れなどについては把握されていない方が多いと思われます。ここでは日本政策金融公庫の事業のうち、小規模事業者を対象とした「国民生活事業」の融資手続きの流れの全体像を紹介し「(1)相談」「(2)申し込み」について詳しく解説いたします。

なお国民生活事業について知りたい方は、資金調達ナビ「日本政策金融公庫について知る 日本政策金融公庫とは(1)」の「国民生活事業について」に解説がありますので、参考にしてください。

日本政策金融公庫の融資申請手続きの流れ

日本政策金融公庫(国民生活事業)の申請手続きの流れは以下のとおりです。まずは全体的な流れを掴んでください。

一般的な申請手続きの流れ

内容
(1)相談
  • 融資制度や申し込み手続きなどについては、電話で相談することができます。
    • 事業資金相談ダイヤル:0120-154-505(2021年10月現在)
  • 事前予約をすれば支店窓口やオンラインでの相談も可能です。
  • 商工会議所、商工会、生活衛生同業組合、都道府県の生活衛生営業指導センターなどでも相談に応じています。
(2)申し込み
(3)面談
  • 担当者から資金使途、事業計画などについて聞かれます。
  • 事務所、店舗、工場などに訪問する場合もあります。
(4)融資
  • 融資決定後、日本政策金融公庫から借用証書などの契約に必要な書類が郵送されてきます。
  • 契約手続きの完了後、融資金が指定の金融機関の口座に送金されます。
(5)返済

なお新型コロナウイルス感染症特別貸付、マル経融資(小規模事業者経営改善資金)、生活衛生改善貸付など、各種融資制度によっては手続きや提出書類が異なる場合があるので、その点については相談窓口や支店に確認するようにしてください。

以下で「相談」「申し込み」について解説していきます。「面談」「融資」「返済」については「融資手続きの実際(2)~日本政策金融公庫(国民生活事業)2~」をご覧ください。

日本政策金融公庫への融資の相談のポイント

「(1)相談」は電話や面談、オンラインですることができます。制度の概要から事業計画の相談など、幅広い内容の相談をすることができます。「現時点で自社は融資を受けることができるのか」「どういう点を改善すればよいのか」というような相談をすることも可能です。

なお「これから融資審査を受ける日本政策金融公庫に事前相談をすると、さまざまな情報を事前提供してしまうことになり、実際の審査の際に不利になるのではないか」と懸念される事業者もいます。そういう懸念を抱かれる方は、外部の民間の専門家(税理士、コンサルタントなど)に相談することをお勧めします。

外部の民間の専門家は、特に日本政策金融公庫の立場で相談を受けるわけではありません。その意味ではあらゆる情報を提供しても安心だと思われます。

日本政策金融公庫への申込方法、必要書類

「(2)申し込み」に関してはインターネットや郵送、直接来店にて手続きすることができます。特にコロナ禍以降、インターネットによる申請手続きが増えていると思われます。また資料の提出などに関しては、専用画面よりアップロードする方法となっています。

ここではインターネットの申請手続きの方法について簡潔に説明いたします。

インターネット申請の流れ

内容
1.登録
2.登録完了
  • 申込情報入力フォームへアクセスします。
    (アドレス登録完了後に送られてくるメールのURLにアクセス)
3.入力
  • 申請者の氏名・住所、申込金額などを入力します。
  • (公庫との取引がある場合)支払額明細書を確認して、明細書記載の取引番号を入力、支店名を選択します。
4.提出書類
  • 必要書類の電子データを用意します。
  • 資料アップロード画面にアクセスして、提出資料をアップロードします。
5.確認
  • チェックボックスで提出書類のチェックをします。
  • 必要書類のアップロードとチェックボックスのチェック後「確認画面へ」をクリックします(提出が必要な書類にチェックがついていない状態では、確認画面に進めません)。
6.送信完了
  • 最終的な確認をして「申し込む」をクリックすれば申し込みは終了です。
  • 申し込み完了後、「お申込みデータ受付完了メール」が送られてきます。

なお、アップロードする必要書類は以下の通りです。法人と個人では異なります。

必要書類
  • (1)
    最近2期分の確定申告書・決算書(法人)
    最近2期分の確定申告書(一式)(個人)
  • (2)
    最近の試算表(法人)
  • (3)
    見積書(設備資金の場合)
  • (4)
    新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の申告書(新型コロナウイルス感染症特別貸付を申請する場合)
  • 創業「前」の申請の場合は、(1)~(3)は必要ありません。

取引がない方

  • (5)
    法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本
  • (6)
    いずれかの書類をご準備ください。
    • A.
      下記B、Cのいずれにも該当しない場合→企業概要書
    • B.
      新型コロナウイルス感染症特別貸付を希望する場合→商売の概要
    • C.
      これから事業を開始される場合、事業を開始して間もない場合→創業計画書
  • (7)
    代表者の運転免許証(両面)またはパスポート
  • (8)
    許認可証(飲食店などの許可・届出などが必要な事業を営んでいる方)

上記の提出資料は「(2)申し込み」時点に必要な書類になります。その他にも、日本政策金融公庫から指定される書類などがありますので、その都度、指示に応じてください。また申請者の状況によっては、事業計画書や損益計画書、資金繰り表などが必要になるケースもあります。

インターネットによる手続きが不得手な方は、日本政策金融公庫の窓口や顧問税理士などに相談しながら進めてください。また申し込みは、郵送でも対応可能ですので、ご自身のしやすい方法を選択してください。

著者:吉田 学(財務・資金調達コンサルタント)

株式会社MBSコンサルティング代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。
主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。

また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。

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