協調融資とは?中小事業者が活用する際のメリット・デメリット
2023-06-26更新
2021/11/10
多くの事業者が利用している日本政策金融公庫、そして銀行、信用金庫など。
しかし、それら金融機関の相違点などについて知っている方は少ないのではないでしょうか?また、日本政策金融公庫、銀行、信用金庫など以外に、どういう金融機関があるのでしょうか?
小規模・中小事業者が利用できる金融機関は、主として日本政策金融公庫などの政府系金融機関や銀行、信用金庫、信用組合などの民間金融機関があります。その他に、いわゆるノンバンク(広義の金融機関)や保険会社、業種に特化している農業協同組合や漁業協同組合などがあります。
主な金融機関について一覧にしましたのでご確認ください。
例 | |
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政府系金融機関 | 日本政策金融公庫 沖縄振興開発金融公庫 商工組合中央金庫 など |
銀行 | 都市銀行 地方銀行 第二地方銀行 ネット銀行 など |
中小企業金融機関 | 信用金庫 信用組合 など |
ノンバンク | 消費者金融 事業者金融 リース会社 など |
農林水産金融機関 | 農業協同組合(JA) 漁業協同組合(JF) など |
その他 | ゆうちょ銀行 労働金庫 独立行政法人福祉医療機構(WAM) 保険会社、共済 など |
政府系金融機関とは、政府が出資金の多く(または全額)を出資している金融機関のことをいいます。代表的な機関としては、中小事業者が主に利用している「日本政策金融公庫」、「商工組合中央金庫」、沖縄県のみを対象とした「沖縄振興開発金融公庫」、そして「国際協力銀行」、「日本政策投資銀行」、「住宅金融支援機構」などがあります。
主な業務内容 | |
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日本政策金融公庫 |
主に以下のような業務を行っています。
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沖縄振興開発金融公庫 |
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商工組合中央金庫 |
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「日本政策金融公庫」については、「日本政策金融公庫について知る」にて、詳細に解説していますので、こちらもご覧ください。
「銀行」とは、「預金の受入れ」、「資金の貸出し(融資)」、「為替取引」などを行う金融機関のことをいいます。都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行だけではなく、信用金庫や信用組合も実質的には銀行と同様の業務を行っていますが、都市銀行や信託銀行以外の銀行は「地元」への密着度が高い傾向があります。規模としては、「都市銀行 > 地方銀行 > 第二地方銀行 > 信用金庫 > 信用組合」というようなイメージになります。
なお、現在、ネット銀行(インターネット専業銀行)が増えています。最小限の店舗のみで運営をしていて、ATMも少なく、預金通帳などもありません。よって、低コストが実現できるため、一般的には、預金金利は高くて、各種手数料は低い傾向となっています。
地方銀行とは、一般社団法人全国地方銀行協会に所属している銀行のことをいい、第一地方銀行と呼ばれる場合もあります。それに対して、第二地方銀行とは、一般社団法人第二地方銀行協会に所属している銀行のことをいいます。
両者の違いですが、ほとんどの第二地方銀行が、相互銀行から転換したという経緯があります。ちなみに、相互銀行とは1951年に制定された相互銀行法に基づいて設立された中小企業専門の民間金融機関ですが、現在は存在していません。
「信用金庫」は、地域住民などが会員となって相互扶助等を目的とした協同組織の金融機関であり、主な取引先は中小事業者や個人です。そして、「信用組合」は、信用金庫と同じ協同組織ですが、設立の根拠法や組合員の資格が異なっています。たとえば、預金受入れについては、信用組合は原則として組合員が対象になりますが、信用金庫の場合は特に制限がありません。
銀行 | 信用金庫 | 信用組合 | |
---|---|---|---|
根拠法 | 銀行法 | 信用金庫法 | 中小企業等協同組合法 |
設立の目的 | 国民経済の健全な発展に資する | 国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資する | 組合員の相互扶助を目的とし、組合員の経済的地位の向上を図る |
組織形態 | 株式会社組織の営利法人 | 会員の出資による協同組織の非営利法人 | 組合員の出資による協同組織の非営利法人 |
会員(組合員)資格 | なし | あり | あり |
代表的な組織の比較 |
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業態別金融機関数 | 都市銀行:5 地方銀行:62 第二地銀:37 |
254 | 145 |
出典
なお、銀行や信用金庫などの組織は、それぞれ特徴があります。組織の特徴について知りたい方は、資金調達ナビ「民間金融機関の組織」を参考にしてください。
事業者が創業当時に借入をするのは、主に「日本政策金融公庫」でしょう。民間金融機関ですと、信用金庫、信用組合などから借入される方が多いと思われます。また、決裁に利用する事業用口座に関しては、都市銀行や大手地銀などで開設される事業者も少なくありません。
小規模事業者が検討期間に余裕のある事業資金の借入を行う場合、「日本政策金融公庫」および「信用金庫」、「信用組合」をメインに利用することが多くあります。これは小規模事業者や地域・地元の事情、地元自治体の制度融資などに精通しているためです。その後、事業規模の拡大などにより、地方銀行や都市銀行などの利用を検討していくケースが多くなっています。
また、急ぎの資金需要にあたっては、条件を比較して「ビジネスローン」の利用を検討することも良いでしょう。
なお、政府系金融機関である日本政策金融公庫との取引は継続した方が良いと考えます。取引を継続していれば、新型コロナウイルス感染症などの緊急事態の際に、早めに対応してくれる傾向があります。
金融機関 | 取引先数 | |
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創業時 |
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2 |
創業後 |
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2~3 |
安定期以降 |
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3~5 |
株式会社MBSコンサルティング代表取締役。1998年の起業以来、「資金繰り・資金調達支援」に特化して創業者や中小事業者を支援。これまでに1,000 社以上の資金調達相談・支援を行い、その資金調達支援総額は20億円超。
主な著書に、「社長のための資金調達100の方法」(ダイヤモンド社)、「究極の資金調達マニュアル」(こう書房)、「税理士・認定支援機関のための資金調達支援ガイド」(中央経済社)などがある。
また、全国の経営者・士業などを対象にした会員制の資金調達勉強会「資金調達サポート会(FSS)」を主催している。
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