どんな方法を選ぶべき?資金調達方法の選び方
2024-07-26更新
2022/05/30
金融機関との上手に付き合うには、金融機関から資料を依頼された場合には、資料を早く正確に提出することが大切です。また、金融機関の担当者が変わった場合には、改めて自社の説明やアピールをするとよいでしょう。ここでは、金融機関の信頼を高めるための資料の提出方法と、担当者が変わった場合の対応について説明します。
融資を申し込みする際に、金融機関から決算書などの資料を求められます。その場合、その資料は正確に早く出すことで「しっかりした企業」と信頼されます。
金融機関は、融資を申し込む企業の「財務・経理体制」について気にかけています。なぜなら融資した資金をきちんと回収するためには、売上をあげてもらうことはもちろんですが、同時に「その売掛金回収や買掛金・人件費などの支払いをし、さらに融資金の返済ができるのか」という視点で見ているからです。つまり規模が小さい企業でも、財務・経理の体制がきちんとしているのかどうかを見ているのです。
例えば「少人数で家族経営の企業でも、経理担当がきちんといている企業」と「規模は大きいが、すべてを経営者が取り仕切っているワンマン企業」があるとします。その場合、金融機関はどちらの企業を評価するでしょうか。金融機関では、家族経営でも財務経理部門がきちんとしている企業の方を評価します。
その理由は、その企業の対する「信用」です。信用とは、例えば「財務経理と営業で相互牽制ができていること」「各専門セクションが持ち場を守っていて、企業が円滑に回っていること」です。
往々にして、規模が小さくて家族経営であれば、奥さんが経理担当なんてこともあります。大企業でも、規模の小さいうちはそのような体制からスタートした企業も多く、金融機関では家族経営かどうかは、あまり重点を置きません。
大事なのは独立した財務経理体制が構築されていることであり、その姿勢自体が金融機関の好評価につながります。
その姿勢の第一は「依頼された資料を正確・早く出すこと」と言えるので、金融機関に対応する際には、注意しましょう。
なお通常、融資の申し込み時に求められる基本的な資料は、以下の通りです。よって、このような資料はスムーズに提出できるような体制にしておきたいものです。
1.融資申し込み時に共通する資料 | 2.運転資金の場合の資料 | 3.設備資金の場合の資料 |
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提出書類について詳しく知りたい方は、資金調達ナビに「融資申請時の提出書類『金融機関への融資申請の際に必要な書類』」の解説があります。また、資金繰り表作成の基礎を知りたい方は「はじめての資金繰り表の作り方」「資金繰り表の作成手順を知ろう」に解説がありますので、参考にご覧ください。
なお、申し込み時に必要な書類は金融機関ごと、融資の種類ごとに多少異なり、上記とは異なる資料が求められる場合もあります。実際に融資の申し込みを行う際には、公式Webサイトで確認するか、金融機関に問い合わせるとよいでしょう。
例えば、日本政策金融公庫であれば「各種書式ダウンロード 」のページから借入申込書をダウンロードしていただくと、必要書類が記載されています。
金融機関の人事異動は、他業種と比較しても多いと言えます。金融機関やその役職にもよりますが、通常1支店の在籍期間は営業職で3年程度、事務職でも5年程度ではないでしょうか。支店内でのジョブローテーションもありますし、地区や担当先の変更もあります。そして退職者に伴う異動も考えると「この前、担当者が変ったと思ったらもう変わるの?」ということもあるでしょう。
なぜ、金融機関では担当者が一定期間で変わるのでしょうか。それは、特に融資業務では「不正を防ぐこと」「顧客との癒着を防ぐこと」という2つの理由があるからです。
企業からすれば、金融機関で担当者が変わる問題点として「きちんと自社を理解していない」「案件などの情報が引継ぎで漏れる」という可能性があることがあります。金融機関によっても異なりますが、引き継ぎ期間が短いことから、新担当者が「きちんと自社を理解していない」という問題が起こりやすいです。実際に、引き継ぎ期間が3日~1週間(5日)という金融機関もあります。
金融機関の担当者は、担当企業が100社、200社、500社にもなる場合があり、短い期間ですべて引き継ぐことは相当大変です。もし1日20社にあいさつしても、5日でやっと100社にあいさつできることになります。あいさつの優先度は現在進行中である案件の引継ぎや大口取引先、以前にトラブルがあった先となるので、もし自社に現在進行中の案件がなかったり、まだ取引自体の規模が小さかったりすると、新担当者を簡単に紹介してもらう程度になってしまうのではないでしょうか。
その結果として、新担当者への引き継ぎは自社のデータからのみの情報で行うかもしれませんし、場合によっては、そのデータ自体も不十分なこともあるかもしれません。
企業の立場からすれば、新担当者は自社についてきちんと前任者から引き継いでいると思われるかもしれませんが、実際は不十分である可能性があります。
自社についての引き継ぎが不十分である可能性を踏まえ、金融機関の担当者が変わった場合、改めて自社の説明・アピールをすると良いでしょう。
確かに、経営者からすれば「やっとうちのことを理解してくれるようになったのに、また一から説明か……。」と思われる方が多いと思います。しかし、金融機関の引き継ぎ事情に理解を示し、新担当者に対して一からていねいに自社の説明をしてあげることが、新担当者との関係性を良くするための秘訣ではないでしょうか。
金融機関の担当者も「今さら、こんなことは聞けないな……。」と思っている場合もあります。もし、自社が新担当者にそのような姿勢を見せると、自社の強みが金融機関に正しく伝わらないかもしれず、企業の損失につながる可能性があります。
そこで、まず担当者が変わったら少し時間を取ってもらい、改めて自社の説明・アピールをすると良いでしょう。
株式会社アスタリスク代表取締役。金融機関、コンサルタント企業、IT企業を経て、2000年代表取締役就任。IT企業、不動産業、商社等の経営戦略、財務戦略、管理会計支援等
を行う。
これまで、銀行等の金融機関の研修・講演講師を70行庫以上務める。主な著書は「渉外マンの現場力/近代セールス社」金融商品取引法・各種業法に基づく「金融商品セールス対応話法集/銀行研修社」等でありその他金融機関向け、雑誌連載実績等多数。
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