個人事業主やフリーランス・自営業も使いやすい補助金・助成金とは?

~補助金・助成金制度の種類と資金調達目的の申請における注意点を解説~

2023/03/01

補助金・助成金とは、国や地方自治体の政策目標に沿った事業を実施の際に支給されるお金です。利益が出ると返済する必要がある補助金もありますが、多くは返済の必要がないため、設備投資や事業拡大などで資金調達を考えている事業者には、魅力的な制度といえるでしょう。補助金・助成金は一般的に、従業員を何人も抱える中小企業だけが受給できる制度と思われがちですが、個人事業主やフリーランス・自営業でも利用可能なものもあります。
この記事では、個人事業主やフリーランス・自営業でも使うことができる補助金・助成金の種類や、補助金・助成金による資金調達のメリット・注意点などを解説します。

補助金・助成金制度の内容

補助金・助成金とは、どのような制度なのでしょうか。まずは補助金・助成金制度の目的や支給元・申請先、税法上の扱いなどについて解説します。

補助金とは国が事業者の活性化のために支給するお金

国が支給する「補助金」とは、主に経済産業省の管轄下にある中小企業庁の補助金制度を指しています。経済産業省(中小企業庁)の補助金の最大の目的は、中小企業や個人事業主・フリーランス・自営業などスモールビジネスを含む事業者の活性化です。中小企業や個人事業主・フリーランス・自営業が行う伝統産業支援からクールジャパン振興、IoT・ロボット開発まで、経済産業分野における研究開発や新市場創出、地域振興、設備投資の促進などのために使われます。これらを支援するため、その費用の一部が補助金として支給されるのです。
補助金・助成金に必要な基礎知識についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

補助金・助成金の基本

補助金の支給元・申請先

国の補助金は、主に経済産業省や経済産業省が管轄する独立行政法人や、外局である中小企業庁などの管理下にあります。経済産業省の補助金は、国の予算(補正予算含む)において定められています。
個人事業主やフリーランス・自営業が申請できる補助金の支給は、主に中小企業庁が担っています。申請に関しても、中小企業庁が委託した事務局などに行います。

補助金の税法上の扱いは雑収入

事業者が補助金を受給した場合、税制上は本業以外の収入である「雑収入」と考えられ、税金(所得税、法人の場合は法人税)がかかります。ただし、消費税の対象にはなりません。
補助金を受給し、収入が増えると税負担が増します。そこで知っておきたいのが、税金を支払うタイミングを次年度以降に遅らせる「圧縮記帳」という制度です。詳しくは、税理士などの専門家に相談しましょう。

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助成金とは国が企業の労働環境改善のために支給するお金

助成金は、国や地方自治体の政策目標に沿って労働環境の改善などを行うために支給されるお金です。雇用の維持をはじめ、新規・中途雇用、人材育成、Uターン・Iターン・Jターン雇用、障害者の定着支援の他、労働環境の改善や介護・育児休暇の取得などのための費用助成が活用先として挙げられます。
厚生労働省の助成金を受けられるのは「従業員を雇用している事業主」です。個人事業主やフリーランス・自営業で、同居する親族を青色事業専従者にしているケースもありますが、親族は労働基準法上の労働者ではないため従業員とはみなされず、助成金の対象外なことに注意が必要です。

助成金の支給元・申請先

助成金制度の財源は雇用保険の保険料や税金であり、労働環境の改善や雇用対策を目的としています。したがって、厚生労働省の助成金が多くを占めると考えていいでしょう。助成金の主な支給元・申請先は、厚生労働省が管轄する都道府県労働局となっています。

助成金は税法上の扱いは雑収入

助成金は補助金と同様に、税制上は「雑収入」と考えられ、受給されると所得税(法人の場合は法人税)がかかります(消費税は除外)。補助金や給付金などにかかる税金を支払うタイミングを遅らせる「圧縮記帳」制度については、税理士などの専門家に相談するようにしてください。
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補助金と助成金の違い

補助金と助成金は、経済産業省と厚生労働省といったように、所管が異なります。補助金は年数回の募集が多いのに対し、助成金は通年公募が多いのが違いですが、いずれも予算がなくなると終了することもあるため、できるだけ早めに申請するのが得策です。

また、補助金は採択を受けなければ支給されません。採択とは、審査をパスして補助金を受給する事業者に選ばれること。一方で、助成金は定められた要件を満たせば支給されます。
いずれにしても、補助金と助成金は個人事業主やフリーランス・自営業など受ける側にとって明確な違いはありません。

個人事業主・フリーランス・自営業が補助金を使うメリットとデメリット

個人事業主やフリーランス・自営業が経済産業省の補助金を使う場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。補助金を使う際のメリットを、デメリットと併せて見ていきましょう。

補助金を使うメリット

個人事業主やフリーランス・自営業が経済産業省の補助金を使うメリットとしては、下記のものが挙げられます。

お金を返す必要がない

補助金の最大のメリットは、お金を返す必要がないことです(一部、返還が必要な場合もあり)。新規事業を始めたり、設備投資を行ったりする際にかかる費用の一部を補助金でまかなえれば、経済的な負担を軽減できます。

事業価値・信用度の向上要素になる

補助金・助成金の多くは、公的機関の書類・面接審査を受けた結果として採択されます。「厳しい審査で採択され、補助金を受けた」事業者として、信用度や事業価値を高められるメリットもあります。

事業計画をブラッシュアップする機会になる

補助金申請時の申請書作成段階で、自らの事業の優位なポイントはもちろん、弱みがある箇所についても客観的な視点で見られるなど、事業計画をブラッシュアップすることができます。

予算規模拡大で大きな額の助成を受けられる

補助金は助成金に比べて、予算規模や支給額が大きいという特徴もあります。特にコロナ禍においては、過去に例がないような予算規模になっていますので、個人事業主やフリーランス・自営業にとってもチャンスが多いといえます。

補助金を使う際のデメリット

個人事業主やフリーランス・自営業が経済産業省の補助金を使う際のデメリットは、下記のようになっています。

後払いで支給される

補助金を利用するうえで念頭に置くべきは、「前払い」ではなく「精算払い(後払い)」であることでしょう。補助金を申請し、採択後、費用は自ら支出して採択事業を実行に移し、後日、補助金を受ける流れです。
したがって、補助金や助成金が払われるまでの「つなぎ資金」が必要となり、自己資金で補えなければ別途借り入れする必要があります。各費用を支払った際の振込票控や写真など、さまざまな資料を添付して実績報告を行い、検査を受け、問題がなければ補助金の交付が確定します。補助金確定後1か月以内を目処に振り込まれます。

審査が厳しく、受給確率が低くなることもある

補助金の採択率(申請件数に占める支給件数の割合)は、8割を超える補助金がある一方で、2割程度にとどまる補助金もあるなど、補助金によって異なります。予算規模が大きく、申請件数が少なければ採択率が高くなるのが一般的です。複数回の公募がある補助金の場合、制度が広く知られる前に申請すると受給確率は高くなりますが、知名度が上がって申請件数が増えると受給確率が下がっていくため、基本的には早く申請するのが望ましいでしょう。
また、申請時、公募要領に書かれている申請要件を1つでも満たしていなければ不採択となりますが、要領をしっかりと読まないまま申請してしまう個人事業主・フリーランス・自営業が多く見られます。
補助金の審査で各項目にどのように点数がつくのかは、事前に公表されているものもあります。「資金に困っているから」といった抽象的な記述ではなく、補助金の目的をよく理解し、根拠のある内容を点数がつくように記入することが重要です。

手続きは楽ではない

補助金申請においては、書類作成・提出、説明会への参加のほか、まれに面接審査を受ける必要があるなど、一定の手間がかかります。採択を受けた後も、事務処理や事後報告などが必要です。手続きは楽ではないことを知っておきましょう。
最近は、電子申請が可能な補助金制度も増えています。電子申請だと提出書類が少なく、数字の整合性や入力漏れがチェックできるなど、ミスを少なくすることも可能です。

募集期間が比較的短い

多くの補助金は、申請期間が限られています。重要なのは、事業の実施時期と、補助金の申請時期のタイミングです。
補助金はすでに支払った費用については支給されず、事業実施前に申請する必要があります。申請・審査に要する期間を考えると、事業計画の初期段階で申請できることが望ましいでしょう。
補助金によっては事前に何らかの承認や支援を受けていることが申請要件となるケースもあり、要件を満たしていない場合は指定された要件を満たすための時間も必要になります。このような点を踏まえると、補助金に関する情報を収集したうえでの要件確認がとても重要です。
補助金は実績報告後に支給されるため、事業の完了時期についても考慮する必要があります。

個人事業主が助成金を使うメリットとデメリット

個人事業主が助成金を受給すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。助成金は補助金と違い従業員を雇用する必要があるため、フリーランス・自営業だと該当しないケースもある他、いくつか注意すべき点もあります。
厚生労働省の助成金を受ける際のメリットと注意点を解説しましょう。

助成金を使うメリット

個人事業主が厚生労働省の助成金を受給するメリットは、下記のようなものがあります。

返済の必要がなく、継続的に受給できる

補助金と同様、助成金も基本的には返済の必要がありません。ただし、要件を満たしていない場合や、申請時に約束したことを実行しなかった場合は、助成金の返還が必要になるといった罰則が設けられています。
「キャリアアップ助成金」のように、毎年さまざまな従業員を対象として継続的に措置を講じれば、対象の従業員が増えるごとに、継続的な受給ができる助成金もあります。

比較的申請通過率が高い

補助金は一定の要件を満たしたうえで、審査によって採択される必要がありますが、助成金は要件さえ満たせば、基本的には予算がある限り支給されます。

事業継続の一助となる

厚生労働省の助成金は、企業の労働環境の向上を図る際に支給されるお金です。助成金支給を受けて労働環境が向上されれば、人材確保や従業員の士気向上、スキルアップなどにもつながり、結果的に事業継続の一助となります。
コロナ禍においては、「雇用調整助成金」や「産業雇用安定助成金」などによって、事業を継続できた例も少なくありません。

助成金を使う際のデメリット

個人事業主が厚生労働省の助成金を受給するときには、下記のデメリットに注意してください。

前払いではない

助成金も補助金と同様に、事業者が労働環境の整備などを行った後に支給されます。システム導入などのために借り入れが必要か、事前に検討してください。

労働環境の要件に適合しないと受給できない

助成金を受けるためには、申請事業者が労働関係の法令を遵守していることが前提です。具体的には、従業員10人未満でも就業規則作成が必須です。雇用契約書の有無、出退勤の時間管理とそれをもとにした残業代計算なども挙げられます。個人事業主で従業員を雇用しているケースもありますが、雇用契約を結んでいないといった法令違反があれば、助成金は受給できません。
従業員を雇用する個人事業主は、助成金申請を機に、雇用契約締結など法令を遵守し、労働環境の整備を行うことで健全な組織にステップアップしようと考えるのが建設的でしょう。

6か月以内の従業員解雇があると受給できない

労働環境の向上を図る目的のため、助成金の多くは、6か月以内に事業主都合の従業員解雇をしていないことを要件としています。

申請期限や手続きに注意が必要

助成金の多くは通年受付です。いつでも門戸は開かれているといえますが、「働き方改革推進支援助成金」など、一部助成金は予算が年度内になくなって、受付を中止することもありました。また、申請時期については、必ず施策実行前に申請しなければなりません。すでに施策を行ったものについては対象外なので、注意が必要です。
助成金の申請作業にあたって、事業者が自ら行うのはハードルが高く、社会保険労務士の支援が必要といえるでしょう。助成金申請を代行できる専門家は社会保険労務士に限られるため、気をつけてください。なお、社会保険労務士と顧問契約を結んでいなくても、単発依頼は可能です。

支給まで時間を要する

助成金の支給までには一定の時間を要します。申請先である各都道府県労働局やハローワークの体制にもよりますが、申請から6~8か月程度、場合によっては1年程度かかることもあります。
どのくらい時間がかかるかの見込みも立ちにくいのも事実なので、助成金支給までの資金については、余裕を持っておく必要があるでしょう。
補助金・助成金のメリットなどについてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

補助金・助成金のメリット・デメリット

個人事業主・フリーランス・自営業が使いやすい補助金

補助金は経済産業省以外にも、各省庁やその関連機関、地方自治体、民間の財団法人など、多くの機関によって実施されています。その数は優に千件を超えるとされていますが、個人事業主やフリーランス・自営業にとって使いやすい補助金としては、下記のものが挙げられます(2023年1月現在)。

持続化補助金(小規模事業者持続化補助金)

持続化補助金は、小規模事業者が自社の経営を見直し、持続的な経営に向けた経営計画を作成したうえで、販路開拓や生産性向上の取り組みを行うことを支援する補助金です。通常枠の他、賃金引上げ枠、卒業枠、後継者支援枠、創業枠、インボイス枠などがあります。

IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)

IT導入補助金は、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補う補助金です。業務効率化のために新たに導入されるソフトウェア製品やクラウドサービスの他、パソコンやタブレット、複合機などのハードウェア、導入にあたってのサポート費用や設定費用も補助の対象です。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継のタイミングで新しい取り組みを行ったり再編・統合を行ったりする中小企業を支援する補助金制度です。経営革新事業(創業支援型、経営者交代型、M&A型)、専門家活用事業(買手支援型と売手支援型)、廃業・再チャレンジ事業の3種類に分かれています。

その他補助金

上記以外だと個人事業主が申請できる経済産業省の補助金として申請数は少ないですが、「事業再構築補助金」や「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」などが挙げられます。
公益財団法人東京都中小企業振興公社が実施する「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」など、自治体単位の補助金もあります。事業を営む自治体に該当する補助金制度がないかも探してみてください。

個人事業主が使いやすい助成金

個人事業主にとって特に利用しやすく、また実際に利用されているのは、下記の2つの助成金が挙げられます。助成金は従業員を雇用していることが前提であり、フリーランス・自営業の方は対象にならないことも多いので注意してください(2023年1月現在)。

雇用調整助成金

雇用調整助成金は、事業活動の縮小を余儀なくされた場合、従業員に支払う休業手当などの一部を助成するものです。コロナ禍においてはよく活用されていました。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、有期労働者、短時間労働者、派遣労働者など、非正規雇用労働者のキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善を行った事業者に費用を助成するものです。

キャリアアップ助成金についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

キャリアアップ助成金とは?~条件や金額、正社員化コース申請の流れ~

その他、個人事業主が使いやすい助成金として、下記のものが挙げられます。

個人事業主が使いやすい厚生労働省の助成金

  • 産業雇用安定助成金
  • 人材開発支援助成金
  • 地域雇用開発助成金
  • 中小企業退職金共済制度に係る新規加入掛金助成及び掛金月額変更掛金助成
  • 中途採用等支援助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金
  • トライアル雇用助成金
  • 両立支援等助成金

せっかく制度が設けられていながら、あまり利用されていない助成金も少なくありません。使える制度を見逃さないよう、こまめに情報収集しましょう。

なお、弥生の「資金調達ナビ」内で検索すると、補助金・助成金に関する情報が得られます。

資金調達ナビ|資金調達手段を検索

個人事業主・フリーランス・自営業の補助金・助成金活用のポイント

個人事業主・フリーランス・自営業の補助金・助成金申請時には、どのような点に気をつけるべきでしょうか。最後に、補助金・助成金の活用のポイントを押さえておきましょう。助成金は「従業員を雇用している事業主」向けのため、ここでは補助金を中心に解説しています。
なお、補助金・助成金を受給するためのポイントについてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

補助金・助成金をもらうためのポイント

事業の計画性や継続性を重視する

補助金・助成金の申請書では、実際に取り組む事業について記載します。採択されるため「売上が急伸する」「圧倒的に成長する」など、仰々しいアピールをする必要はありません。むしろ、「新しい取り組みによって、当面事業が続けられる」といった、継続性や実現可能性が確保できることが重要です。
重要なのは、新たな事業や取り組みを行うことで、どのような効果が得られるか、整合性のとれる根拠と同時に示すことです。

例えば、売上アップの根拠として、既存客のリストや、その既存客のニーズに合った商品を提供している競合店が近隣にはないというデータ、あるいはニーズを満たした商品を試作してアンケートをとったところ、「買いたい」という要望が多かったケースが挙げられます。
他にアドバイスする人がいない個人事業主の場合、独りよがりな視点に陥るケースも見られるので、客観的な根拠を示すことができるようにしてください。

ちなみに、申請については専門家に相談し、アドバイスを受けた方がいいでしょう。独学で行っても、結果的に採択されなければ、ただの時間の無駄遣いになってしまうからです。補助金・助成金申請のコツを会得しようとしたり詳しくなったりするより、個人事業主やフリーランス・自営業は本業で稼ぐことに注力した方が効率的といえます。

誰が読んでもわかりやすく書く

補助金・助成金の申請書は、読み手にとって読みやすく、わかりやすく書くことが何より大切です。
業種・職種特有の専門用語には注釈をつけたり、図や表、グラフなどを盛り込んだりすると、多忙な審査担当者により伝わりやすくなります。

経費支出のタイミングや時期に注意する

審査をパスして採択されると、補助金・助成金を受けることが決まります。その際に気をつけたいのが、事業を実施するタイミングです。
事業に着手していいのは、「交付決定通知書」を受け取り、補助金・助成金の対象期間に入ってからです。それより前に発生した経費は、原則として対象にならないため注意してください。

また、対象事業が完了したら、事業内容やかかった経費について報告書を作成します。報告によって補助金・助成金の金額が確定され、入金となります。報告書の作成時には、見積書、請求書、納品書、振込控などの必要資料や、その要件についてしっかり確認しましょう。

補助金・助成金の関係書類は事業終了後5年間保存する

補助金・助成金の関係書類は、事業終了後5年間の保存が義務付けられています。事務所移転の際なども紛失しないように注意しましょう。
個人事業主でも、会計検査院の検査が入る可能性は、決してゼロではありません。正しく申請していれば問題はありませんが、経営コンサルタントなどに申請準備などすべてを委ね、実際に取り組む内容と乖離があると、後で大きな問題になるおそれもあります。専門家に書類管理などを丸投げするのは厳禁です。

補助金・助成金を事業の発展や継続に正しく役立てよう

補助金・助成金は、国や自治体の政策に沿って事業を行う事業者を、資金の面で支援する制度です。
かつて、「スモールビジネスは弱い存在なので守らなければならない」という考え方で支援されていましたが、近年、スモールビジネスはいろいろな特性を持ち、独自の強みで活動している多様な存在だと捉えられています。補助金・助成金も、そうした多様な存在を支援しようという考え方で設けられているのです。

個人事業主は、できるだけこれらの支援を利用した方がいいでしょうし、補助金・助成金を受ける際に事業について客観的な見方ができたり、労働環境についてあらためて整備できたりするといったメリットもあります。新しいことに取り組む際には、利用できる補助金・助成金がないか、同時に情報を集めることをおすすめします。

もちろん、補助金・助成金を受給しようとするために、本業と関係がないことを行うのでは本末転倒です。補助金・助成金は基本的に、使ったお金の一部が補填される制度であって、使った分以上にお金が入ってくることはありません。きちんと成果が出なければ、ただの資金の持ち出しになってしまいます。
補助金・助成金ありきではなく、事業のために効果的に利用できるよう、じっくり検討するようにしてください。

補助金・助成金に必要な基礎知識についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

著者:西内 孝文(にしうち たかふみ)

税理士・特定社会保険労務士・中小企業診断士・特定行政書士・CFP(R)の複数の資格を活用してワンストップで課題を解決できるユナイテッド・アドバイザーズグループを主宰。補助金・助成金等の支援では、着手金無しの業務報酬後払制により支援を行っており、成果にコミットした支援を行っている。

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